STEP 15:相対参照と絶対参照($記号)

📍 Step 15: 相対参照と絶対参照($記号)

数式をコピーするときの最重要概念!$記号の使い方を完全マスター

📋 このステップで学ぶこと

  • 相対参照とは何か(数式をコピーすると参照先が動く)
  • 絶対参照とは何か($記号で参照先を固定)
  • 複合参照(行だけ固定、列だけ固定)
  • F4キーで参照形式を簡単に切り替える方法
  • 実務での使い分け(消費税率、為替レートなど)

🎯 1. なぜこの概念が超重要なのか?

スプレッドシートの「魔法」と「落とし穴」

スプレッドシートには、数式をコピーするだけで自動的に参照先が変わるという便利な機能があります。これが「相対参照」です。

でも、この「魔法」が時として「落とし穴」になります。消費税率のように「固定したいセル」まで動いてしまうと、計算結果がおかしくなるのです。

🏠 日常生活に例えると…

相対参照は「隣の家」という言い方。自分が引っ越せば「隣の家」も変わります。
絶対参照は「東京タワー」という言い方。どこに引っ越しても「東京タワー」は変わりません。
💡 実務での重要性

以下のような「全員が同じ値を使う」場面で必須のテクニックです:
  • 消費税率(10%や8%)
  • 為替レート(1ドル=150円など)
  • 割引率(20%オフなど)
  • 基準値(目標値、前年値など)
これができないと、数式を1つ1つ手作業で修正することになり、非常に非効率です。

🔄 2. 相対参照とは

数式をコピーすると参照先が自動的に動く

相対参照は、「自分から見た位置関係」で参照先を記憶しています。だから数式をコピーすると、参照先も一緒に動きます。

📊 具体例:単価×個数の計算(※横スクロールできます)

【表の例】 A列 B列 C列 D列 1 商品 単価 個数 金額 2 りんご 100 5 =B2*C2 3 バナナ 150 3 4 みかん 80 10 D2に =B2*C2 と入力

📋 D2の数式をD3、D4にコピーすると…(※横スクロールできます)

【コピー後】 D2: =B2*C2 (りんご: 100×5=500) D3: =B3*C3 (バナナ: 150×3=450)← 自動的に1行下にズレた! D4: =B4*C4 (みかん: 80×10=800)← さらに1行下にズレた! 【なぜこうなる?】 D2から見て、B2は「左に2つ、同じ行」 D3から見て、B3も「左に2つ、同じ行」 D4から見て、B4も「左に2つ、同じ行」 → 「左に2つ、同じ行」という相対的な位置関係は変わらない → だから参照先が自動的に変わる
✅ 相対参照のメリット

数式を1つ書くだけで、あとはコピーするだけで全行の計算ができます。100行あっても、1000行あっても、コピー1回で完了です。

実際にやってみよう

🔧 手順(※横スクロールできます)

【手順】 1. 上記の表を作成する(A1〜D4) 2. D2セルをクリック 3. =B2*C2 と入力してEnter 4. D2セルを選択して、右下の小さな■(フィルハンドル)をD4までドラッグ 5. D3、D4を見ると、自動的に =B3*C3、=B4*C4 になっている! 【結果】 D2: 500 (100×5) D3: 450 (150×3) D4: 800 (80×10)

📌 3. 絶対参照とは($記号)

相対参照だけではうまくいかない例

次の例を見てください。消費税込み価格を計算したいのですが、相対参照だとうまくいきません。

❌ 問題が起きる例(※横スクロールできます)

【消費税込み価格を計算したい】 A列 B列 C列 1 消費税率 1.1 2 商品 税抜価格 税込価格 3 りんご 100 =B3*B1 ← 正しく110になる 4 バナナ 150 =B4*B2 ← B1がB2にズレた!おかしい! 5 みかん 80 =B5*B3 ← B1がB3にズレた!おかしい! 【問題点】 消費税率(B1)は全商品で同じはずなのに、 コピーすると B2、B3… とズレてしまう!
⚠️ これでは計算が合わない!

バナナの税込価格は 150×1.1=165 のはずなのに、B4×B2 だと 150×150=22500 になってしまいます。消費税率のセル(B1)は固定したいのです。

解決策:$記号で固定する

$記号を付けると、その部分がコピーしても動かなくなります。これが「絶対参照」です。

✅ 正しい書き方(※横スクロールできます)

【絶対参照を使った正しい数式】 C3に =B3*$B$1 と入力 $B$1 → Bの前にも1の前にも$を付ける → 「B1セルを絶対に固定する」という意味 【コピー後】 C3: =B3*$B$1 → 100×1.1=110 C4: =B4*$B$1 → 150×1.1=165 ← B1のまま固定! C5: =B5*$B$1 → 80×1.1=88 ← B1のまま固定! 【ポイント】 ・B3, B4, B5 は相対参照(コピーでズレる)→ 各商品の価格を参照 ・$B$1 は絶対参照(コピーしても固定)→ 常に消費税率を参照
🔑 $記号の意味

  • $B → B列を固定(左右に動かない)
  • $1 → 1行目を固定(上下に動かない)
  • $B$1 → 両方固定(完全に固定)

⌨️ 4. F4キーで簡単に切り替え

$記号を手入力するのは面倒…

$B$1と手で入力するのは面倒ですし、間違えやすいです。F4キーを使えば、ワンタッチで切り替えられます。

🔧 F4キーの使い方(※横スクロールできます)

【使い方】 1. セルに =B3*B1 と入力($はまだ付けない) 2. 数式の中の「B1」の部分にカーソルを置く (B1のどこかをクリックするか、矢印キーで移動) 3. F4キーを押す 【F4を押すたびに変わる】 1回目: $B$1 (絶対参照:行も列も固定) 2回目: B$1 (複合参照:行だけ固定) 3回目: $B1 (複合参照:列だけ固定) 4回目: B1 (相対参照)← 元に戻る 4. 欲しい形になったらEnterを押して確定
💻 Windowsの場合

F4キーを押す

※ノートPCの場合はFn + F4が必要なこともあります
🍎 Macの場合

Command + Tを押す

またはF4キー(設定による)
💡 F4キーを使えば間違えない

$記号の位置を間違えることがなくなります。F4キーを何度か押して、目的の形になったらEnterを押せばOKです。実務では必須のテクニックです!

📊 5. 参照の4種類まとめ

一覧表で理解しよう

参照の種類 書き方 コピー時の動き 使う場面
相対参照 B1 行も列もズレる 通常の計算(各行で異なるセルを参照)
絶対参照 $B$1 完全に固定 消費税率、為替レートなど固定値
複合参照(行固定) B$1 列は動く、行は固定 横にコピーする表(九九表など)
複合参照(列固定) $B1 行は動く、列は固定 縦にコピーする表

🔍 視覚的に理解しよう(※横スクロールできます)

【$の位置と意味】 B1 → 何も固定しない(相対参照) ↓ $B$1 → 列も行も固定(絶対参照) ↓ B$1 → 行だけ固定(複合参照) ↓ $B1 → 列だけ固定(複合参照) ↓ B1 → 元に戻る 【覚え方】 $は「ストップ」の意味! $Bで「列ストップ」、$1で「行ストップ」

🔀 6. 複合参照(行だけ固定、列だけ固定)

複合参照が必要な場面

複合参照は、縦にも横にもコピーする表で活躍します。代表例が「九九の表」です。

📊 九九の表を作る例(※横スクロールできます)

【九九の表(3×3の例)】 A B C D 1 1 2 3 2 1 ? ? ? 3 2 ? ? ? 4 3 ? ? ? B2に =$A2*B$1 と入力して、B2:D4にコピー 【$A2の意味】 ・$A → A列を固定(横にコピーしても常にA列を参照) ・2 → 行は固定しない(縦にコピーすると2→3→4と変わる) 【B$1の意味】 ・B → 列は固定しない(横にコピーするとB→C→Dと変わる) ・$1 → 1行目を固定(縦にコピーしても常に1行目を参照)

📋 コピー後の結果(※横スクロールできます)

【各セルの数式と結果】 B2: =$A2*B$1 → 1×1=1 C2: =$A2*C$1 → 1×2=2 D2: =$A2*D$1 → 1×3=3 B3: =$A3*B$1 → 2×1=2 C3: =$A3*C$1 → 2×2=4 D3: =$A3*D$1 → 2×3=6 B4: =$A4*B$1 → 3×1=3 C4: =$A4*C$1 → 3×2=6 D4: =$A4*D$1 → 3×3=9 【完成した九九表】 A B C D 1 1 2 3 2 1 1 2 3 3 2 2 4 6 4 3 3 6 9
💡 複合参照の考え方

  • 横にコピーするときに固定したい → に$を付ける($A)
  • 縦にコピーするときに固定したい → に$を付ける($1)

💼 7. 実務での使い分け

パターン1:消費税率(絶対参照)

📊 消費税込み価格の計算(※横スクロールできます)

【設計】 A列 B列 C列 1 消費税率 1.1 2 商品 税抜価格 税込価格 3 りんご 100 =B3*$B$1 4 バナナ 150 =B4*$B$1 5 みかん 80 =B5*$B$1 【ポイント】 ・消費税率(B1)は全商品で同じ → $B$1で固定 ・各商品の価格(B3, B4…)は違う → 相対参照でOK 【メリット】 消費税率が変わったら、B1を変えるだけで全部更新される!

パターン2:為替換算(絶対参照)

📊 円をドルに換算(※横スクロールできます)

【設計】 A列 B列 1 為替レート 150 (1ドル=150円) 2 価格(円) 価格(ドル) 3 1500 =A3/$B$1 → 10ドル 4 3000 =A4/$B$1 → 20ドル 5 4500 =A5/$B$1 → 30ドル 【ポイント】 ・為替レート(B1)は共通 → $B$1で固定 ・各商品の円価格は違う → 相対参照でOK

パターン3:割引価格表(複合参照)

📊 会員ランク別の割引後価格(※横スクロールできます)

【設計】 A列 B列 C列 D列 1 ゴールド シルバー ブロンズ 2 割引率 0.7 0.8 0.9 3 商品A 1000 ? ? ? 4 商品B 2000 ? ? ? 5 商品C 3000 ? ? ? B3に =$A3*B$2 と入力して、B3:D5にコピー 【$A3の意味】 ・A列固定(横にコピーしても商品価格のA列を参照) ・行は固定しない(縦にコピーすると3→4→5と変わる) 【B$2の意味】 ・列は固定しない(横にコピーするとB→C→Dと変わる) ・2行目固定(縦にコピーしても割引率の2行目を参照) 【結果】 B列 C列 D列 3 700 800 900 4 1400 1600 1800 5 2100 2400 2700
🔑 実務のコツ

共通の設定値(税率、為替レート等)は表の上や左にまとめて書き、絶対参照で参照するのが実務の定石です。

理由:後で値が変わったとき、1箇所変えるだけで全体が更新されます。

🎓 8. 参照の選び方フローチャート

🔍 どの参照を使うべきか判断しよう(※横スクロールできます)

【判断フロー】 この数式をコピーする予定はありますか? │ ├─ NO → 相対参照でOK(A1) │ └─ YES │ 参照先を固定したいですか? │ ├─ 完全に固定したい → 絶対参照($A$1) │ 例:消費税率、為替レート │ ├─ 行だけ固定したい → 複合参照(A$1) │ 例:九九表の横の数字 │ ├─ 列だけ固定したい → 複合参照($A1) │ 例:九九表の縦の数字 │ └─ 固定不要 → 相対参照(A1) 例:各行で別々のセルを参照したい
📌 相対参照(A1)

使う場面:
各行で異なるセルを参照したい

例:
=B2*C2 を下にコピー
📌 絶対参照($A$1)

使う場面:
全員が同じセルを参照したい

例:
消費税率、為替レート
📌 複合参照(A$1)

使う場面:
横にコピー、行は固定

例:
九九表の横の数字(1行目)
📌 複合参照($A1)

使う場面:
縦にコピー、列は固定

例:
九九表の縦の数字(A列)

📝 練習問題

練習 1
初級

次の数式をD2からD5までコピーしたとき、各セルの数式はどうなりますか?

D2: =A2+B2

解答:

  • D2: =A2+B2(元の数式)
  • D3: =A3+B3
  • D4: =A4+B4
  • D5: =A5+B5

解説: すべて相対参照なので、1行下にコピーするたびに参照先も1行ずつ下にズレます。

練習 2
初級

次の数式をD2からD5までコピーしたとき、各セルの数式はどうなりますか?

D2: =A2*$B$1

解答:

  • D2: =A2*$B$1(元の数式)
  • D3: =A3*$B$1
  • D4: =A4*$B$1
  • D5: =A5*$B$1

解説: A2は相対参照なので変わります。$B$1は絶対参照なので常にB1のまま固定です。

練習 3
中級

消費税込み価格を計算する表を作ってください

以下の表で、C3に適切な数式を入れて、C4、C5にコピーしてください。

A列 B列 C列 1 消費税率 1.1 2 商品 税抜 税込 3 りんご 100 ? 4 バナナ 200 ? 5 みかん 150 ?

解答: C3に =B3*$B$1 と入力

結果:

  • C3: =B3*$B$1 → 110
  • C4: =B4*$B$1 → 220
  • C5: =B5*$B$1 → 165

解説: B3, B4, B5は各商品の価格(変わる)、$B$1は消費税率(固定)

練習 4
中級

為替換算表を作ってください

以下の表で、B3に適切な数式を入れて、B4、B5にコピーしてください。

A列 B列 1 為替 150 (1ドル=150円) 2 価格(円) 価格(ドル) 3 1500 ? 4 3000 ? 5 4500 ?

解答: B3に =A3/$B$1 と入力

結果:

  • B3: =A3/$B$1 → 10ドル
  • B4: =A4/$B$1 → 20ドル
  • B5: =A5/$B$1 → 30ドル

解説: 円をドルに換算するので、為替レート($B$1)で割ります。割り算でも絶対参照の考え方は同じです。

練習 5
上級

複合参照を使って九九の表(3×3マス分)を作ってください

B2に適切な数式を入れて、B2:D4の範囲にコピーしてください。

A B C D 1 1 2 3 2 1 ? ? ? 3 2 ? ? ? 4 3 ? ? ?

解答: B2に =$A2*B$1 と入力

結果:

  • B2: =$A2*B$1 → 1×1=1
  • C2: =$A2*C$1 → 1×2=2
  • D2: =$A2*D$1 → 1×3=3
  • B3: =$A3*B$1 → 2×1=2
  • C3: =$A3*C$1 → 2×2=4
  • D3: =$A3*D$1 → 2×3=6
  • B4: =$A4*B$1 → 3×1=3
  • C4: =$A4*C$1 → 3×2=6
  • D4: =$A4*D$1 → 3×3=9

解説:

  • $A2 → A列固定(縦の数字)、行は変わる
  • B$1 → 1行目固定(横の数字)、列は変わる
練習 6
上級

会員ランク別の割引価格表を作ってください

B3に適切な数式を入れて、B3:D4の範囲にコピーしてください。

A列 B列 C列 D列 1 ゴールド シルバー ブロンズ 2 割引率 0.7 0.8 0.9 3 商品A 1000 ? ? ? 4 商品B 2000 ? ? ?

解答: B3に =$A3*B$2 と入力

結果:

  • B3: =$A3*B$2 → 1000×0.7=700
  • C3: =$A3*C$2 → 1000×0.8=800
  • D3: =$A3*D$2 → 1000×0.9=900
  • B4: =$A4*B$2 → 2000×0.7=1400
  • C4: =$A4*C$2 → 2000×0.8=1600
  • D4: =$A4*D$2 → 2000×0.9=1800

解説:

  • $A3, $A4 → A列固定(商品価格)
  • B$2, C$2, D$2 → 2行目固定(割引率)

📝 Step 15 のまとめ

✅ このステップで学んだこと
  • 相対参照(A1):数式をコピーすると参照先が動く
  • 絶対参照($A$1):数式をコピーしても参照先が固定される
  • 複合参照(A$1, $A1):行だけ、または列だけ固定
  • F4キーで参照形式を簡単に切り替えられる
  • 消費税率や為替レートなど固定値は絶対参照を使う
  • 九九の表や価格表など縦横の表は複合参照を使う
  • $記号の位置で何が固定されるかが決まる
🎯 次のステップの予告

相対参照と絶対参照をマスターしました!次のStep 16では、「SUM関数(合計)」を学びます。最も基本的で重要な関数です。絶対参照の知識も活用します。

❓ よくある質問

Q1: $はどこに付ければいいですか?
固定したいものの前に$を付けます。列を固定したいなら列記号(A, Bなど)の前に$、行を固定したいなら行番号(1, 2など)の前に$です。両方固定したいなら両方に付けます($A$1)。迷ったらF4キーで切り替えながら確認しましょう。
Q2: F4キーが効きません
いくつかの原因が考えられます:
  • 数式入力中に、セル参照の上にカーソルがあるか確認してください
  • ノートPCの場合はFn + F4を試してください
  • Macの場合はCommand + Tを使ってください
  • 数式を確定した後はF4キーは効きません(F2で編集モードにしてから使う)
Q3: $B$1と$B1の違いが分かりません
$の位置に注目してください:
  • $B$1:列も行も両方固定(B1から絶対に動かない)
  • $B1:列だけ固定(B列は固定、行は1→2→3と変わる可能性あり)
縦にコピーするときに固定したいなら行に$、横にコピーするときに固定したいなら列に$を付けます。
Q4: いつ絶対参照を使えばいいですか?
同じセルを何度も参照するときです。典型例は、消費税率、為替レート、割引率、基準値などです。「この値は全部の計算で使う」というセルがあれば、絶対参照で固定しましょう。
Q5: 複合参照はいつ使いますか?
縦横の表を作るときに便利です。九九の表、料金表、換算表など、行見出しと列見出しがある表で活躍します。縦にも横にもコピーするときは複合参照を検討しましょう。
Q6: 間違って相対参照にしてしまいました
修正方法:
  1. セルをダブルクリック(またはF2キー)で編集モードにする
  2. 該当のセル参照の上にカーソルを置く
  3. F4キーを押して$B$1の形に変える
  4. Enterで確定
  5. 数式を再度コピーし直す
Q7: Googleスプレッドシートでも同じですか?
はい、まったく同じです。$記号の使い方、相対参照・絶対参照・複合参照の概念はExcelと同じです。F4キーの代わりにF4またはCtrl + $で切り替えられます(環境により異なる場合があります)。
📝

学習メモ

Excel・Googleスプレッドシート完全マスター - Step 15

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