⚙️ STEP 13: パラメータの作成と活用
ダッシュボードを動的に変化させる魔法のツール!パラメータで分析を柔軟に
📋 このステップで学ぶこと
- パラメータとは何か、フィルターとの違い
- パラメータの作成方法(数値、文字列、日付)
- パラメータコントロールの表示と操作
- 計算フィールドとパラメータの組み合わせ
- What-If分析(シミュレーション)
- 動的な軸の切り替え(CASE文)
- パラメータのベストプラクティス
ゴール:パラメータを使って動的なダッシュボードを作成できるようになる
⚙️ 1. パラメータとは
パラメータの定義と特徴
パラメータは、ユーザーが値を入力して、その値を計算やフィルターで使える変数です。ダッシュボードを動的に変化させる強力なツールです。
フィルターが「データから選ぶ」のに対し、パラメータは「自由に値を設定できる」点が大きな違いです。
計算機アプリで「消費税率」を設定する場面を想像してください。消費税率(8%、10%)を変えると、税込価格が自動で再計算されます。
消費税率:[ 8% ▼ ] ← パラメータ(ユーザーが選択)
────────────────
税込価格:10,800円 ← 計算結果(自動更新)
税率を10%に変更すると…
税込価格:11,000円 ← 自動で再計算!
ポイント:これがパラメータの基本動作です。ユーザーが入力した値を計算に使えます。
| 比較項目 | フィルター | パラメータ |
|---|---|---|
| 役割 | データを絞り込む | 値を入力して計算に使う |
| データソース | データから自動取得 | 手動で定義 |
| 複数選択 | 可能 | 不可(1つだけ) |
| 計算での使用 | 直接使えない | 計算フィールドで使える |
| 典型的な用途 | 店舗選択、期間絞り込み | 目標値、税率、シミュレーション |
| 特徴 | 説明 |
|---|---|
| 1つの値だけ保持 | フィルターのように複数選択は不可。常に1つの値を持つ |
| 計算に使える | 目標達成率 = 売上 ÷ [目標値パラメータ] のように計算式で使用 |
| すべてのシートで共有 | 1つのパラメータを複数のシートで同時に使用可能 |
| データに依存しない | データに存在しない値も自由に設定可能 |
⚙️ 2. パラメータの作成方法
3種類のパラメータを使いこなす
パラメータには主に「整数」「浮動小数点数」「文字列」の3種類があります。用途に応じて使い分けましょう。
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1 | データペインの右上にある▼をクリック |
| 2 | 「パラメータの作成」を選択 |
| 3 | パラメータ設定ダイアログで名前、データ型、値を設定 |
| 4 | 「OK」をクリック |
| 5 | データペインの「パラメータ」セクションに追加される |
用途:月間売上目標を設定し、達成率を計算する
| 設定項目 | 設定値 |
|---|---|
| 名前 | 月間売上目標 |
| データ型 | 整数 |
| 現在の値 | 1000000(100万円) |
| 値を表示 | 範囲 |
| 最小 | 500000(50万円) |
| 最大 | 5000000(500万円) |
| ステップサイズ | 100000(10万円刻み) |
使用例:目標達成率 = SUM([売上]) / [月間売上目標]
用途:特定のカテゴリを選択してフィルターとして使う
| 設定項目 | 設定値 |
|---|---|
| 名前 | 選択カテゴリ |
| データ型 | 文字列 |
| 現在の値 | 家電 |
| 値を表示 | リスト |
| リスト内容 | 家電、衣料品、食品、書籍、スポーツ用品 |
使用例:[商品カテゴリ] = [選択カテゴリ] → True/Falseを返す
用途:売上成長シミュレーション用
| 設定項目 | 設定値 |
|---|---|
| 名前 | 成長率(%) |
| データ型 | 浮動小数点数 |
| 現在の値 | 1.1(10%成長) |
| 値を表示 | 範囲 |
| 最小〜最大 | 0.8(-20%)〜 1.5(+50%) |
| ステップサイズ | 0.05(5%刻み) |
使用例:予測売上 = SUM([売上]) * [成長率(%)]
🎛️ 3. パラメータコントロールの表示
パラメータコントロールとは
パラメータコントロールは、ユーザーがパラメータの値を変更できるUI部品です。ダッシュボードに表示して、インタラクティブな分析を実現します。
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1 | データペインの「パラメータ」セクションで、表示したいパラメータを右クリック |
| 2 | 「パラメータコントロールを表示」を選択 |
| 3 | ビュー(グラフ)の右側にコントロールが表示される |
| 4 | コントロールの右上▼をクリックして、表示形式を変更可能 |
| コントロール | 見た目 | 適した場面 |
|---|---|---|
| スライダー | バーを左右に動かす | 数値の範囲選択(売上目標、成長率など) |
| リスト | ラジオボタン | 選択肢が少ない場合(3〜5個) |
| ドロップダウン | プルダウンメニュー | 選択肢が多い場合(6個以上) |
| 入力フィールド | テキストボックス | 自由入力(キーワード検索など) |
コントロールの右上▼→「パラメータの編集」で以下を変更できます:
| 設定項目 | 説明 |
|---|---|
| 表示名 | わかりやすい名前に変更 |
| 説明文 | ツールヒントに表示される説明 |
| リストの並び順 | データソース順、アルファベット順など |
| 値の書式 | 通貨、パーセンテージなど |
🧮 4. 計算フィールドとパラメータの組み合わせ
パラメータの真の力を発揮する
パラメータの真の力は、計算フィールドと組み合わせることで発揮されます。ユーザーが入力した値を使って、動的に計算できます。
前提:パラメータ「月間売上目標」を作成済み
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1 | データペイン右上の▼→「計算フィールドの作成」 |
| 2 | 名前:目標達成率 |
| 3 | 計算式:SUM([売上]) / [月間売上目標] |
| 4 | 「OK」をクリック |
| 5 | 「目標達成率」を行シェルフにドラッグ |
| 6 | 右クリック→書式設定→パーセンテージ形式に変更 |
結果:パラメータで目標値を変えると、達成率が自動で再計算される!
前提:パラメータ「選択カテゴリ」を作成済み
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1 | 計算フィールドを作成:名前「カテゴリフィルター」 |
| 2 | 計算式:[商品カテゴリ] = [選択カテゴリ] |
| 3 | 「カテゴリフィルター」を右クリック→「フィルター」 |
| 4 | 「True」にチェック→「OK」 |
| 5 | パラメータコントロールを表示 |
結果:パラメータで「衣料品」を選ぶと、衣料品のみ表示される!
計算フィールドでパラメータを使う際は、[パラメータ名]のように角括弧で囲みます。フィールド名と同じ記法です。
例:[月間売上目標]、[成長率(%)]、[選択カテゴリ]
📈 5. What-If分析(シミュレーション)
What-If分析とは
What-If分析は、「もし〜だったら?」というシナリオをシミュレーションする分析手法です。パラメータで条件を変えて、結果がどう変わるかを確認します。
経営判断や戦略立案に非常に役立つ分析手法です。
シナリオ:「来年の売上が10%成長したらどうなる?」
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1 | パラメータ作成:名前「成長率」、範囲0.8〜1.5(ステップ0.05) |
| 2 | 計算フィールド作成:名前「予測売上」 |
| 3 | 計算式:SUM([売上]) * [成長率] |
| 4 | グラフに「実績売上」と「予測売上」を両方表示 |
| 5 | パラメータコントロール(スライダー)を表示 |
結果:スライダーを動かすと、予測線が動的に変化する!
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 変更する要素を特定:価格、広告費、成長率など |
| 2 | パラメータを作成:変更範囲を設定 |
| 3 | 影響を計算:計算フィールドでシミュレーション式を作成 |
| 4 | 結果を可視化:実績 vs シミュレーションを比較 |
| 5 | 最適値を探索:パラメータを動かして最良のシナリオを発見 |
🔄 6. 動的な軸の切り替え
パラメータで表示する指標を切り替える
パラメータを使えば、1つのグラフで複数の指標を切り替え表示できます。ダッシュボードのスペースを節約し、ユーザーが見たい情報を選べるようになります。
目的:売上、個数、利益を1つのグラフで切り替え表示
| 手順 | 操作内容 |
|---|---|
| 1 | パラメータ作成:名前「表示指標」、データ型「文字列」 |
| 2 | 値を表示:リスト、リスト内容:売上、個数、利益 |
| 3 | 計算フィールド作成:名前「選択された指標」 |
| 4 | 計算式:CASE文を使用(下記参照) |
| 5 | 「選択された指標」を行シェルフにドラッグ |
| 6 | パラメータコントロールを表示(リスト形式) |
CASE [表示指標]
WHEN “売上” THEN SUM([売上])
WHEN “個数” THEN SUM([個数])
WHEN “利益” THEN SUM([利益])
END
結果:パラメータで「個数」を選ぶと個数のグラフ、「利益」を選ぶと利益のグラフに切り替わる!
WHEN “値1” THEN 処理1
WHEN “値2” THEN 処理2
WHEN “値3” THEN 処理3
ELSE デフォルト処理
END
注意:各WHEN句の結果は同じデータ型である必要があります(すべて数値、またはすべて文字列)。
🎯 7. パラメータのベストプラクティス
効果的なパラメータを作るためのルール
パラメータを効果的に使うためのルールを覚えておきましょう。
| ルール | 理由 |
|---|---|
| わかりやすい名前 | 「パラメータ1」ではなく「売上目標」のように具体的に |
| 適切な初期値 | 実務で使いやすいデフォルト値を設定 |
| 説明文を追加 | ツールヒントで使い方を説明 |
| 範囲を制限 | 無効な値を入力できないようにする |
| 単位を明記 | 「%」「円」「個」など単位を表示名に含める |
| 適切なコントロール | 選択肢が少ないならリスト、範囲ならスライダー |
| 避けるべきこと | 問題点 |
|---|---|
| パラメータの乱用 | 多すぎると混乱(5個以内推奨) |
| 不明確な名前 | 「値」「数字」などの抽象的な名前 |
| 範囲が広すぎる | 0〜1億などの非現実的な範囲 |
| フィルターで十分な場合 | データから選択するならフィルターを使う |
| 説明なし | ユーザーが使い方を理解できない |
| やりたいこと | 使うべきもの | 理由 |
|---|---|---|
| 店舗を選択 | フィルター | データに存在する値から選ぶ |
| 売上目標を設定 | パラメータ | データに存在しない値(計算に使う) |
| 期間を選択 | フィルター | データの日付から選ぶ |
| 成長率を設定 | パラメータ | シミュレーション用の値 |
| 表示する指標を選択 | パラメータ | 計算フィールドで切り替え |
📝 STEP 13 のまとめ
- パラメータ:ユーザーが値を入力できる変数
- フィルターとの違い:1つの値、計算で使える、データに依存しない
- 3種類のパラメータ:整数、浮動小数点数、文字列
- コントロール:スライダー、リスト、ドロップダウン、入力フィールド
- 計算での活用:目標達成率、予測、条件付きフィルター
- What-If分析:価格、広告費、成長率のシミュレーション
- 動的切り替え:指標、ディメンションの切り替え(CASE文)
パラメータはダッシュボードを動的にする魔法のツールです。
フィルターが「データを絞り込む」のに対し、パラメータは「計算に使う値を設定する」ために使います。
特にWhat-If分析(シミュレーション)、指標の切り替え、目標値の設定に威力を発揮します。
判断基準:データに存在する値ならフィルター、存在しない値ならパラメータ!
📝 実践演習
「月間売上目標」という名前の整数型パラメータを作成してください。初期値は100万円、範囲は50万円〜500万円(10万円刻み)で設定してください。パラメータコントロールも表示してください。
| 1 | データペイン右上の▼→「パラメータの作成」 |
| 2 | 名前:月間売上目標 |
| 3 | データ型:整数、現在の値:1000000 |
| 4 | 値を表示:範囲、最小:500000、最大:5000000 |
| 5 | ステップサイズ:100000 |
| 6 | 「OK」→パラメータを右クリック→「パラメータコントロールを表示」 |
確認:スライダーが表示され、50万〜500万の範囲で調整できる
演習1で作成したパラメータを使って、「目標達成率」という計算フィールドを作成してください。計算式は「売上合計 ÷ 月間売上目標」とし、パーセンテージ形式で表示してください。
| 1 | データペイン右上の▼→「計算フィールドの作成」 |
| 2 | 名前:目標達成率 |
| 3 | 計算式:SUM([売上]) / [月間売上目標] |
| 4 | 「OK」をクリック |
| 5 | 「目標達成率」を右クリック→「既定のプロパティ」→「数値形式」 |
| 6 | 「パーセンテージ」を選択、小数点以下1桁 |
確認:パラメータの値を変えると、達成率が自動で再計算される
「表示指標」というパラメータを作成し、売上、個数、利益を切り替え表示できるようにしてください。CASE文を使って「選択された指標」という計算フィールドを作成し、パラメータで選択した指標が表示されるグラフを作ってください。
| 名前 | 表示指標 |
| データ型 | 文字列 |
| 値を表示 | リスト |
| リスト | 売上、個数、利益 |
計算式:
CASE [表示指標]
WHEN “売上” THEN SUM([売上])
WHEN “個数” THEN SUM([個数])
WHEN “利益” THEN SUM([利益])
END
| 1 | 「選択された指標」を行シェルフにドラッグ |
| 2 | 適切なディメンション(店舗名など)を列シェルフにドラッグ |
| 3 | パラメータコントロールを表示(リスト形式) |
結果:パラメータで選択した指標が表示されるグラフが完成!
❓ よくある質問
店舗名や商品名はデータに存在するのでフィルター、売上目標や成長率はデータに存在しないのでパラメータです。
また、計算で使いたい値はパラメータです。
例:
[月間売上目標]パラメータもフィールドと同じように [ ] で囲む必要があります。また、パラメータが正しく作成されているか、データペインの「パラメータ」セクションを確認しましょう。
パラメータを作成しただけでは何も起こりません。
必要な手順:
①計算フィールドでパラメータを参照する
②その計算フィールドをビューに配置する
複数の値を選択したい場合は、フィルターを使ってください。
パラメータは「目標値」「成長率」など単一の値を設定する用途に適しています。
NG例:
WHEN “売上” THEN SUM([売上]) ← 数値
WHEN “商品名” THEN [商品名] ← 文字列
対策:すべてのWHEN句が数値を返すか、すべてが文字列を返すかに統一してください。
1つのワークブックで作成したパラメータは、すべてのワークシートで使用できます。
ダッシュボードでも同じパラメータコントロールを使えば、複数のシートが同時に更新されます。これがパラメータの大きな利点です!
変更できる項目:
・表示形式(スライダー、リスト、ドロップダウン)
・タイトルの表示/非表示
・コントロールの位置
「パラメータの編集」から書式設定も可能です。
学習メモ
BIツール入門 - Step 13