💡 STEP 43: データから洞察を導く思考法
「だから何?」「なぜ?」と問い続けて本質を掴もう
📋 このステップで学ぶこと
- So What?(だから何?)の思考法
- Why So?(なぜそうなる?)の深掘り
- 5 Whysによる根本原因分析
- 仮説検証のサイクル
- ストーリーラインの構築
学習時間の目安: 2.5時間
🔍 1. So What?(だから何?)の思考法
データは事実、洞察は意味
データ分析の目的は「事実の発見」ではなく、「意味のある洞察」を得ることです。データを見たら必ず「だから何?」と問いかけ、ビジネスへの示唆を導き出しましょう。
レベル1:事実(Fact) — 価値:低い
「売上が前年比10%減少した」
→ データをそのまま述べているだけ
レベル2:洞察(Insight) — 価値:中
「主力商品Bの競争力が低下している」
→ 事実の意味を解釈している
レベル3:示唆/アクション(Implication) — 価値:高い
「商品Bのリニューアルに500万円投資すべき」
→ 何をすべきかを具体的に提案している
So What?の連鎖
「今月の売上は5,000万円」
「目標6,000万円に対して83%の達成率」
「主力のB商品が前年比20%減少」
「競合の新製品発売が影響」
「Q2にB商品をリニューアル」
❌ 悪い例(事実を述べているだけ)
「A商品の売上が100万円でした」
→ ビジネスへの示唆がない。「だから何?」に答えられていない。
✅ 良い例(洞察とアクションまで)
「A商品の売上が目標比80%でした。若年層の購買が30%減少しており、SNSマーケティングの強化が必要です。来月から週3回の投稿と、インフルエンサー施策を開始します。」
→ 事実 + 分析 + アクションまで含まれている
🔎 2. Why So?(なぜそうなる?)の深掘り
5 Whysの手法
5 Whys(なぜを5回)は、問題の表面的な原因ではなく、根本原因(Root Cause)を特定するための手法です。トヨタ生産方式で有名になりました。
実践例:売上減少の根本原因分析
1. 必ず5回とは限らない
3回で根本原因に到達することも、7回必要なこともある。重要なのは根本原因を特定すること。
2. 複数の原因がある場合
1つのWhyに複数の答えがある場合は、すべての経路を追う。ツリー構造で整理。
3. データで裏付ける
推測だけで進まない。各段階でデータを確認し、仮説→検証のサイクルを回す。
4. 責任追及にしない
「誰が」ではなく「何が」問題か。システムや仕組みの問題を探し、再発防止が目的。
🔄 3. 仮説検証のサイクル
仮説思考の実践
データ分析は「仮説なし」で始めると迷走しがちです。まず仮説を立て、それを検証し、結果から学習するサイクルを回しましょう。
Step 1:仮説の構築
「〇〇が原因で、△△が起きている」という形で明確に
Step 2:検証方法の決定
どのデータで、どう検証するか
Step 3:検証の実施
データ分析、A/Bテスト、顧客インタビューなど
Step 4:結果の解釈とアクション
仮説が正しければ実行、間違っていれば新しい仮説へ
実践例:ECサイトのコンバージョン率改善
以下の2軸で評価して、優先順位を決めます。
【インパクト】大・中・小
・大:売上・利益に直接影響
・中:重要指標に影響
・小:補助的な影響
【検証の容易さ】易・中・難
・易:データがある、すぐ分析可能
・中:追加データ収集が必要
・難:時間・コストがかかる
優先順位:インパクト大×検証易 → インパクト大×検証中 → インパクト中×検証易 → その他
📖 4. ストーリーラインの構築
ピラミッドストラクチャー
分析結果を報告する際は、ピラミッドストラクチャーで整理すると説得力が増します。結論を先に述べ、それを支える根拠を階層的に示します。
【レベル1:メインメッセージ】(1〜2文)
最も重要な結論を1文で
例:「B商品のリニューアルに500万円投資し、年間売上を2,000万円増やすべき」
【レベル2:3つの根拠】
メインメッセージを支える理由(3つが理想)
1. B商品の売上が20%減少している
2. 顧客調査で「デザインが古い」の声が多数
3. 競合分析でリニューアルのROIが確認済み
【レベル3:詳細データ】
各根拠を支える具体的なデータ
1-1. 前年比売上データ
1-2. 市場シェアの推移
2-1. NPS調査結果
2-2. 自由回答の分析… など
SCQAフレームワーク
ストーリーを組み立てる際は、SCQAフレームワークが有効です。
| 要素 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| S(Situation) | 状況:現在の背景 | 「当社B商品は10年前から変わらず販売」 |
| C(Complication) | 複雑化:問題・変化 | 「しかし市場は進化し、競合は刷新」 |
| Q(Question) | 疑問:解決すべき問い | 「どうすれば競争力を取り戻せるか?」 |
| A(Answer) | 答え:提案 | 「リニューアルに500万円投資すべき」 |
1. 数字で語る
「多い」→「前年比150%」、「改善した」→「20%向上」
2. 比較を示す
過去 vs 現在、競合 vs 当社、対策前 vs 対策後
3. ビジュアル化
グラフで一目瞭然に、色で重要点を強調
4. 反論に先回り
想定される疑問に答える、リスクと対策を提示
5. アクション明確化
誰が、何を、いつまでに、どのように
📝 STEP 43 のまとめ
- So What?:「だから何?」でデータから洞察を導く
- Why So?:「なぜ?」で根本原因を特定する
- 5 Whys:表面的な原因ではなく根本原因を追求
- 仮説検証:仮説→検証→学習のサイクルを回す
- ストーリーライン:ピラミッドストラクチャーで説得力を高める
アナリスト思考:
「売上が10%減少しました」
→ 事実を報告するだけ
洞察思考:
「B商品の競争力低下が原因で売上が10%減少。リニューアルに500万円投資すれば、年間2,000万円の増収が見込めます。」
→ 原因・対策・効果まで提示
データアナリストの価値は、「洞察」と「アクション」にあり!
📝 練習問題
以下のデータに対して、So What?を3段階深掘りしてください。
【事実】
今月のWebサイト訪問者数は10万人でした。前月は12万人でした。
↓ So What?
洞察1:訪問者が前月比17%減少。異常な減少率。
↓ So What?(流入元を分析)
洞察2:自然検索からの流入が-30%。SEOに問題がある可能性。
↓ So What?(原因を特定)
洞察3:サイト速度が2秒→8秒に悪化。検索順位が1位→5位に下落。
↓ So What?(どうすべき?)
アクション:サーバー増強(50万円)と画像最適化(20万円)を1週間以内に実施。1ヶ月後に訪問者12万人に回復見込み。
5 Whysを使って、以下の問題の根本原因を特定してください。
【問題】
新商品の発売が2ヶ月遅延した
→ 製造ラインの立ち上げに時間がかかったから
Why #2:なぜ製造ラインの立ち上げに時間がかかったのか?
→ 必要な製造設備の納品が1ヶ月遅れたから
Why #3:なぜ設備の納品が遅れたのか?
→ 設備仕様が途中で2回変更になったから
Why #4:なぜ設備仕様が変更になったのか?
→ 製品仕様が開発途中で変更されたから
Why #5:なぜ製品仕様が変更されたのか?
→ 開発開始前に関係部署との要件定義が不十分だったから
★ 根本原因:「要件定義プロセスの欠如」
再発防止策:
・開発開始前に2週間の要件定義フェーズを義務化
・全関係部署が参加する要件レビュー会議の実施
・変更管理プロセスの確立
以下の仮説を検証するための方法を設計し、検証後のアクションまで考えてください。
【仮説】
「カスタマーサポートの応答時間が長い(平均30分)ことが、顧客満足度低下の原因である」
1. 相関分析
・応答時間と顧客満足度スコアの相関を計算
・データ:過去6ヶ月の問い合わせ記録
2. セグメント比較
・応答時間別(10分以内/10-30分/30分以上)の満足度比較
・統計的有意差をt検定で確認
3. 顧客インタビュー
・低満足度の顧客10名にヒアリング
・不満の具体的内容を確認
【検証結果(仮定)】
・相関係数:-0.65(強い負の相関)
・30分以上の満足度:2.8点(5点満点)
・10分以内の満足度:4.2点
→ 仮説は検証された!
【アクション】
・目標:平均応答時間30分→10分
・施策1:FAQ充実で問い合わせ30%削減(コスト100万円)
・施策2:チャットボット導入で即時対応(コスト500万円)
・施策3:サポート人員2名増員(コスト800万円/年)
・期待効果:満足度2.8→4.0、リピート率+15%、売上+3,000万円/年
・ROI:(3,000 – 1,400) / 1,400 × 100 = 114%
❓ よくある質問
・事実と解釈を区別する(解釈にはデータの裏付けが必要)
・複数の仮説を検討し、データで絞り込む
・反証を探す(確証バイアスを避ける)
・定量的に示す(「競争力低下」→「市場シェア20%→15%」)
原則:So What?は主観的な感想ではなく、データに基づいた論理的な推論
・失敗を記録する(どんな仮説で、なぜ外れたか、何を学んだか)
・新しい仮説を立てる(外れた理由から次の仮説を導く)
・部分的な正しさを探す(完全に外れることは稀)
・チームで振り返る(前提条件の見直し、分析手法の改善)
重要:仮説検証は失敗してOK。むしろ早く失敗して学ぶことが大事
【1ページ目(必須)】
・結論:1〜2文で最も重要なメッセージ
・根拠:3つのポイント
・アクション:誰が、何を、いつまでに
・リスクと対策
【2ページ目以降(補足)】
・詳細なデータ分析、市場調査、財務シミュレーション
経営層の関心事:
・いくら儲かるか(ROI)
・いつまでにできるか(Timeline)
・リスクは何か(Risk)
・代替案はないか(Options)
学習メモ
ビジネスデータ分析・意思決定 - Step 43