🐳 STEP 3: Dockerのインストールと初期設定
Windows、Mac、LinuxへのDockerインストールと、Hello Worldコンテナの実行
📋 このステップで学ぶこと
- Docker Desktopとは何か、その構成要素
- Windows へのインストール(WSL 2の設定含む)
- Mac へのインストール(Intel / Apple Silicon対応)
- Linux へのインストール(Ubuntu / CentOS)
- インストールの確認とHello Worldコンテナの実行
- Docker Engineのアーキテクチャ理解
- よくあるトラブルと解決方法
💻 1. Docker Desktopとは?
1-1. Docker Desktopの概要
Docker Desktopは、WindowsやMacでDockerを簡単に使えるようにしたアプリケーションです。
本来、DockerはLinux上で動作するソフトウェアですが、Docker DesktopはWindowsやMacの中に軽量なLinux環境を自動的に構築し、その上でDockerを動かします。
- Docker Engine:コンテナを実際に動かすエンジン本体
- Docker CLI:コマンドラインでDockerを操作するツール
- Docker Compose:複数のコンテナをまとめて管理するツール
- Docker Desktop GUI:視覚的にコンテナを管理できる画面
- Kubernetes:コンテナオーケストレーション機能(オプション)
1-2. Docker DesktopとDocker Engineの違い
初心者が混乱しやすいポイントなので、違いを整理しておきましょう。
| 項目 | Docker Desktop | Docker Engine |
|---|---|---|
| 対象OS | Windows、Mac | Linux |
| GUI | あり(視覚的な管理画面) | なし(CLIのみ) |
| インストール | 簡単(インストーラー実行) | やや複雑(コマンド実行) |
| 仕組み | 軽量Linux VMを内蔵 | ホストOSで直接動作 |
| ライセンス | 大企業は有償(250人以上) | 無償(オープンソース) |
1-3. システム要件
Dockerをインストールする前に、お使いのパソコンが要件を満たしているか確認しましょう。
| OS | 要件 |
|---|---|
| Windows |
・Windows 10 64bit(Build 19041以降)または Windows 11 64bit ・Home版、Pro版、Enterprise版、Education版すべて対応 ・WSL 2(Windows Subsystem for Linux 2)の有効化が必要 ・メモリ:最低4GB(推奨8GB以上) ・BIOSで仮想化機能(Intel VT-x / AMD-V)が有効 |
| Mac |
・macOS 12(Monterey)以降 ・Intel チップ または Apple Silicon(M1/M2/M3) ・メモリ:最低4GB(推奨8GB以上) |
| Linux |
・Ubuntu 20.04以降、Debian 10以降、CentOS 7以降、Fedora 36以降 ・64bit のLinuxカーネル ・メモリ:最低2GB(推奨4GB以上) |
以前はWindows Pro版以上が必要でしたが、現在はHome版でもDocker Desktopが使えます。
WSL 2という機能を使うことで、Home版でもDockerを動かせるようになりました。
次のセクションで詳しく説明します。
🪟 2. Windows へのインストール
2-1. インストールの流れ
Windows版Dockerのインストールは、以下の流れで行います。
2-2. Step 1: WSL 2の有効化
WSL 2(Windows Subsystem for Linux 2)は、Windows上でLinuxを動かすための機能です。
Docker DesktopはこのWSL 2を使ってLinuxコンテナを実行します。
PowerShellを管理者権限で開く
- スタートメニューで「PowerShell」と検索
- 「Windows PowerShell」を右クリック
- 「管理者として実行」をクリック
- 「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」と表示されたら「はい」をクリック
WSL 2をインストールするコマンド
以下のコマンドを入力して Enter キーを押します。
wsl:WSL(Windows Subsystem for Linux)を操作するコマンド--install:WSLをインストールするオプション
このコマンドを実行すると、WSL 2と一緒にUbuntu(Linux)も自動的にインストールされます。
インストールが完了すると、以下のようなメッセージが表示されます。
パソコンを再起動
インストール完了後、パソコンを再起動してください。
再起動しないとWSL 2が有効になりません。
再起動後の設定
再起動すると、自動的にUbuntuのセットアップ画面が開きます。
ユーザー名とパスワードを設定してください。
パスワードを入力する際、画面には何も表示されません(セキュリティのため)。
入力できていないように見えますが、実際には入力されています。
入力後、Enterキーを押してください。
WSL 2が正しくインストールされたか確認
PowerShellで以下のコマンドを実行して確認します。
wsl:WSLを操作するコマンド--list:インストールされているLinuxディストリビューションを一覧表示--verbose:詳細情報(バージョン番号など)も表示
以下のような表示が出ればWSL 2のインストール成功です。
VERSIONの列が「2」になっていることを確認してください。
「1」の場合は、WSL 1がインストールされています(後述のトラブルシューティングを参照)。
2-3. Step 2: Docker Desktopのダウンロード
- ブラウザで
https://www.docker.com/products/docker-desktop/にアクセス - 「Download for Windows」ボタンをクリック
- Docker Desktop Installer.exe がダウンロードされる
2-4. Step 3: インストーラーの実行
ダウンロードした Docker Desktop Installer.exe をダブルクリックして実行します。
- Use WSL 2 instead of Hyper-V:チェックを入れる(推奨)
- Add shortcut to desktop:デスクトップにショートカットを作成(お好みで)
「OK」をクリックするとインストールが始まります。
完了後、「Close and restart」をクリックして再起動します。
2-5. Step 4: Docker Desktopの起動と初期設定
- 再起動後、デスクトップの「Docker Desktop」アイコンをダブルクリック
- 利用規約が表示されたら「Accept」をクリック
- Docker Desktopが起動し、画面右下のタスクトレイに🐳アイコンが表示される
- アイコンが緑色(または安定状態)になれば起動完了
初回起動時は、必要なファイルのダウンロードや初期化が行われるため、数分かかる場合があります。
「Docker Desktop is starting…」と表示されている間は、そのまま待ちましょう。
🍎 3. Mac へのインストール
3-1. 使用しているMacのチップを確認
MacにはIntelチップとApple Silicon(M1/M2/M3)の2種類があります。
ダウンロードするファイルが異なるため、まず確認しましょう。
確認方法
- 画面左上のAppleアイコン(🍎)をクリック
- 「このMacについて」を選択
- 表示された情報を確認:
- 「チップ: Apple M1」「Apple M2」など → Apple Silicon
- 「プロセッサ: Intel Core i5」など → Intelチップ
3-2. Docker Desktopのダウンロード
- ブラウザで
https://www.docker.com/products/docker-desktop/にアクセス - お使いのMacに合わせてダウンロード:
- Apple Silicon(M1/M2/M3)の場合:「Download for Mac – Apple Silicon」
- Intelチップの場合:「Download for Mac – Intel Chip」
- Docker.dmg ファイルがダウンロードされる
チップの種類と異なるバージョンをインストールすると、正常に動作しません。
必ず正しいバージョンをダウンロードしてください。
3-3. インストール実行
- ダウンロードした Docker.dmg をダブルクリック
- 開いたウィンドウで、Docker アイコンを Applications フォルダにドラッグ&ドロップ
- Finderで アプリケーション フォルダを開く
- 「Docker」をダブルクリックして起動
初回起動時の確認画面
初回起動時、以下のような確認画面が表示される場合があります。
- 「”Docker”はインターネットからダウンロードされたアプリケーションです。開いてもよろしいですか?」
→ 「開く」をクリック - 「Dockerが変更を加えようとしています」(パスワード入力)
→ Macのログインパスワードを入力 - 「Install Rosetta 2」(Apple Siliconの場合)
→ 「Install」をクリック
3-4. Docker Desktopの起動確認
- 利用規約が表示されたら「Accept」をクリック
- Docker Desktopが起動し、画面上部のメニューバーに🐳アイコンが表示される
- アイコンをクリックして、ステータスが「Docker Desktop is running」になれば起動完了
Macへのインストールは比較的シンプルです。
メニューバーのDockerアイコンが緑色(または正常状態)であれば、使用準備完了です。
🐧 4. Linux へのインストール
4-1. LinuxでのDockerインストールについて
Linuxでは、Docker Desktopではなく、Docker Engineを直接インストールします。
GUIはありませんが、コマンドラインですべての操作が可能です。
DockerはもともとLinux用に開発されました。
LinuxではOSが直接コンテナをサポートしているため、Docker Engineだけで動作します。
WindowsやMacのような仮想化レイヤーが不要で、より軽量・高速に動作します。
4-2. Ubuntu / Debian へのインストール
以下のコマンドを順番に実行していきます。
各コマンドの意味も解説します。
Step 1: 古いバージョンの削除
過去にDockerをインストールしたことがある場合、古いバージョンを削除します。
sudo:管理者権限でコマンドを実行apt-get remove:パッケージを削除するコマンドdocker docker-engine docker.io containerd runc:削除対象のパッケージ名
「パッケージが見つかりません」と表示されても問題ありません。
Step 2: 必要なパッケージのインストール
apt-get update:パッケージリストを最新に更新apt-get install:パッケージをインストールca-certificates:SSL証明書の検証に必要curl:URLからデータをダウンロードするツールgnupg:GPG鍵(セキュリティ署名)を扱うツールlsb-release:Linuxディストリビューションの情報を取得
Step 3: DockerのGPGキーを追加
Dockerの公式リポジトリを信頼するための鍵を追加します。
mkdir -p:ディレクトリを作成(-pは親ディレクトリも同時に作成)curl -fsSL:エラー時に終了し、進捗を表示せず、リダイレクトに従う| sudo gpg --dearmor:ダウンロードしたデータをGPG形式に変換して保存
Step 4: Dockerのリポジトリを追加
このコマンドは、Dockerの公式パッケージリポジトリをシステムに登録します。
これにより、apt-get install でDockerをインストールできるようになります。
Step 5: Dockerのインストール
docker-ce:Docker Engine本体(Community Edition)docker-ce-cli:Dockerコマンドラインツールcontainerd.io:コンテナランタイムdocker-compose-plugin:Docker Compose機能
Step 6: Dockerサービスの起動
systemctl start docker:Dockerサービスを今すぐ起動systemctl enable docker:パソコン起動時に自動でDockerを起動するよう設定
4-3. 一般ユーザーでDockerを使えるようにする
デフォルトでは、Dockerコマンドを実行するのにsudoが必要です。
毎回sudoを付けるのは面倒なので、一般ユーザーでも使えるように設定します。
usermod:ユーザー情報を変更するコマンド-aG docker:dockerグループに追加(-a: 追加、-G: グループ指定)$USER:現在ログインしているユーザー名
設定を反映するには、一度ログアウトして再ログインするか、以下のコマンドを実行します。
dockerグループに追加されたユーザーは、実質的にroot権限相当の操作ができるようになります。
本番サーバーでは、慎重に権限管理を行ってください。
4-4. CentOS / RHEL へのインストール
CentOS や Red Hat Enterprise Linux をお使いの場合は、以下のコマンドを実行します。
✅ 5. インストールの確認
5-1. Dockerのバージョン確認
ターミナル(Windows: PowerShell、Mac/Linux: Terminal)を開いて、以下のコマンドを実行します。
docker:Dockerコマンド--version:バージョン情報を表示するオプション
以下のような表示が出ればインストール成功です。
バージョン番号は異なる場合がありますが、エラーが出なければ正常にインストールされています。
5-2. Docker Composeのバージョン確認
5-3. Dockerの詳細情報を確認
このコマンドを実行すると、Dockerの詳細な設定情報が表示されます。
5-4. Hello Worldコンテナの実行
いよいよ、最初のDockerコンテナを実行してみましょう!
docker:Dockerコマンドrun:コンテナを実行するサブコマンドhello-world:実行するイメージの名前
以下のような表示が出れば成功です!
「Hello from Docker!」と表示されれば、Dockerが正しくインストールされ、
コンテナを実行できることが確認できました!
これであなたもDocker使いの仲間入りです!
5-5. 何が起こったのか?(裏側の動き)
docker run hello-world を実行したとき、Dockerは裏側で以下の処理を行っています。
- イメージ:コンテナの「設計図」(読み取り専用のテンプレート)
- コンテナ:イメージから作成された「実行中のインスタンス」
料理で例えると、イメージは「レシピ」、コンテナは「実際に作った料理」です。
1つのレシピ(イメージ)から、同じ料理(コンテナ)を何個でも作れます。
⚙️ 6. Docker Engineのアーキテクチャ
6-1. Docker Engineの構成要素
Docker Engineは、複数のコンポーネントが連携して動作しています。
仕組みを理解しておくと、トラブルシューティングの際に役立ちます。
6-2. 各コンポーネントの役割
| コンポーネント | 役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| Docker Client | ユーザーがコマンドを入力するインターフェース | docker run、docker psなどのコマンド |
| Docker Daemon | バックグラウンドで動作するサーバー。クライアントからのリクエストを処理 | イメージのビルド、コンテナの起動/停止を実行 |
| containerd | コンテナのライフサイクル(作成→実行→停止→削除)を管理 | Docker Hubからのイメージダウンロード |
| runc | Linuxカーネルの機能を使ってコンテナを実際に起動 | namespaceやcgroupsの設定 |
6-3. クライアント・サーバーモデル
Dockerはクライアント・サーバーモデルで動作します。
クライアント(依頼する側)とサーバー(処理する側)が分かれている仕組みです。
- Docker Client:ユーザーからのコマンドを受け取り、Daemonに依頼
- Docker Daemon:依頼を受けて実際の処理を実行
この仕組みにより、リモートサーバー上のDockerを操作することも可能です。
🔧 7. トラブルシューティング
7-1. よくあるエラーと解決方法
Dockerを使い始めるときによく遭遇するエラーと、その解決方法を紹介します。
エラー1:「Docker daemon is not running」
Docker Daemonが起動していません。
Windows / Mac の場合:
Docker Desktopを起動してください。タスクトレイ(Windows)またはメニューバー(Mac)のDockerアイコンが緑色になるまで待ちます。
Linux の場合:
エラー2:「permission denied」(Linux)
現在のユーザーがdockerグループに所属していないため、権限がありません。
エラー3:「WSL 2 installation is incomplete」(Windows)
WSL 2が正しくインストールされていない、またはWSL 2カーネルが更新されていません。
エラー4:「Docker Desktop failed to start」
Docker Desktopを起動しても、すぐに終了してしまう。または起動画面のまま進まない。
仮想化機能が無効になっている可能性があります。
- BIOSで仮想化機能を有効化
- パソコンを再起動し、BIOS設定画面に入る(起動時にF2、Delete、F10などを押す)
- 「Virtualization Technology」「Intel VT-x」「AMD-V」などの項目を「Enabled」に変更
- Windowsの機能を確認
- 「Windows の機能の有効化または無効化」を開く
- 「仮想マシン プラットフォーム」と「Linux 用 Windows サブシステム」にチェックが入っているか確認
エラー5:WSLのバージョンが1になっている
wsl --list --verbose でVERSIONが「1」と表示される。
7-2. Docker Desktopの設定調整
Docker Desktopが重い場合や、パフォーマンスを改善したい場合は、リソース設定を調整します。
- Docker Desktopを開く
- 右上の歯車アイコン(Settings)をクリック
- 「Resources」を選択
- 以下の項目を調整:
- CPUs:Dockerに割り当てるCPUコア数(推奨: 2以上)
- Memory:Dockerに割り当てるメモリ(推奨: 4GB以上)
- Disk image size:Dockerイメージを保存する領域のサイズ
- 「Apply & Restart」をクリック
軽い作業(学習目的):CPU 2コア、メモリ 4GB
本格的な開発:CPU 4コア以上、メモリ 8GB以上
ただし、ホストマシン(あなたのパソコン)の半分以上のリソースをDockerに割り当てると、
パソコン全体の動作が遅くなる可能性があります。
📝 STEP 3 のまとめ
- Docker Desktopを使えば、Windows/Macで簡単にDockerを使える
- WSL 2を有効化すれば、Windows Home版でもDockerが使える
- Linuxでは、Docker Engineをコマンドでインストール
- docker –versionでバージョン確認、docker run hello-worldで動作確認
- Docker EngineはClient → Daemon → containerd → runcの階層構造
- よくあるエラーの対処法を理解
| OS | インストール方法 | ポイント |
|---|---|---|
| Windows | WSL 2 + Docker Desktop | WSL 2の有効化を忘れずに。Home版でも使用可能。 |
| Mac | Docker Desktop | Intel / Apple Siliconで異なるインストーラーを使用。 |
| Linux | Docker Engine | コマンドでインストール。dockerグループへの追加を忘れずに。 |
Dockerのインストールは、最初の一歩です。
インストールさえできれば、あとはコマンドを覚えるだけ!
次のSTEP 4では、実際にPostgreSQLコンテナを起動して、
データベースを操作してみましょう。いよいよ実践編の始まりです!
次のSTEP 4では、「初めてのDockerコンテナ実行」を行います。
- PostgreSQLコンテナの起動
- コンテナへの接続方法
- データベースの基本操作
- コンテナの停止と削除
Dockerの便利さを実感できるステップです!
学習メモ
Docker・コンテナ技術入門 - Step 3