📊 STEP 23: コホート分析
顧客の行動パターンを時系列で追跡しよう
📋 このステップで学ぶこと
- コホート分析とは何か
- リテンション率の計算方法
- コホート表の作成とヒートマップ可視化
- コホート分析の解釈と活用
- PythonとExcelでの実装
学習時間の目安:3時間
🔍 1. コホート分析とは
基本概念
同じ時期に同じ体験をしたユーザーのグループ
例:
・2024年1月に登録したユーザー → 1月コホート
・2024年2月に登録したユーザー → 2月コホート
・2024年3月に登録したユーザー → 3月コホート
コホート分析の目的:
・各コホートの行動パターンを追跡
・時間経過による変化を観察
・コホート間の違いを比較
・施策の効果を測定
なぜコホート分析が重要か
問題:全体平均の罠
・全体のアクティブ率:40%
・「まあまあの数字だ」と思うかもしれないが…
コホート分析で見えること:
・古いユーザー(1年前登録):アクティブ率 60%
・新しいユーザー(先月登録):アクティブ率 20%
→ 新規ユーザーの離脱が深刻!全体平均では見えなかった
コホート分析の価値:
・時間軸での変化を追跡
・施策の効果を正確に測定
・問題の発見が早くなる
リテンション率とは
一定期間後も、サービスを継続利用している割合
計算式:
リテンション率 = (期間後の利用者数 / 初期の利用者数) × 100%
例:
・1月に100人が登録
・2月(1ヶ月後)に40人が利用 → リテンション率 40%
・3月(2ヶ月後)に25人が利用 → リテンション率 25%
・4月(3ヶ月後)に20人が利用 → リテンション率 20%
重要性:
・リテンション率が高い = 顧客が定着している
・リテンション率が低い = 離脱が多い → 改善が必要
コホートの種類
| 種類 | 定義方法 | 例 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 時間ベース | 登録月でグループ化 | 1月登録、2月登録… | 最も一般的、リテンション分析 |
| 行動ベース | 初回購入時期でグループ化 | 1月初購入、2月初購入… | 購買行動の分析 |
| 属性ベース | 流入元でグループ化 | Google経由、SNS経由… | チャネル評価 |
| 施策ベース | キャンペーン参加でグループ化 | キャンペーンA、B… | 施策効果測定 |
📊 2. コホート表の作成
基本的なコホート表
行:コホート(登録月)
列:経過期間(0ヶ月、1ヶ月、2ヶ月…)
値:リテンション率
| 登録月 | ユーザー数 | 0ヶ月 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年1月 | 500人 | 100% | 40% | 25% | 20% |
| 2024年2月 | 600人 | 100% | 50% | 35% | – |
| 2024年3月 | 700人 | 100% | 55% | – | – |
| 2024年4月 | 800人 | 100% | – | – | – |
・1月コホート:0ヶ月100% → 1ヶ月後40% → 2ヶ月後25% → 3ヶ月後20%
・2月コホート:0ヶ月100% → 1ヶ月後50% → 2ヶ月後35%
→ 2月、3月とリテンション率が改善している!
Pythonでの実装
ヒートマップで可視化
📈 3. コホート分析の解釈
パターンの読み取り
1. 初期離脱の確認
・0ヶ月→1ヶ月の落ち込みが大きい
→ オンボーディングに問題あり
2. 長期的なトレンド
・最近のコホートほど、リテンション率が高い
→ サービス改善の効果が出ている!
3. 季節性の影響
・特定の月のコホートだけ低い
→ 季節要因やキャンペーンの影響
4. 安定するタイミング
・3ヶ月目以降はリテンション率が横ばい
→ 3ヶ月継続すれば、定着する
縦と横の読み方
・同じユーザー群の時間経過を追跡
・「このコホートはどう変化したか?」
・減少カーブの形を確認
・急激に落ちる vs 緩やかに落ちる
・異なるコホートを同じタイミングで比較
・「1ヶ月後の定着率は改善しているか?」
・施策効果の確認
・最近のコホートが良いか確認
アクションへの変換
📑 4. Excelでの実装
データ準備
計算式の追加
条件付き書式でヒートマップ
💼 5. 実務での活用
活用シーン
例1:オンボーディング改善
・3月に新しいチュートリアルを導入
・3月コホートのリテンション率が改善
→ チュートリアルの効果あり!
例2:施策の効果測定
・4月にプッシュ通知を強化
・4月コホートの2ヶ月目リテンションが向上
→ プッシュ通知が有効
例3:ターゲット変更の影響
・5月から獲得チャネルを変更
・5月コホートのリテンションが低下
→ 新チャネルの質が低い
例4:プロダクト改善の効果
・6月に大型アップデート
・6月以降のコホートが全期間で改善
→ アップデートの効果が持続的
レポーティングのポイント
1. 結論を先に
「1ヶ月目リテンションが42%→56%に改善しました」
2. ヒートマップで視覚的に
色で一目でわかるように表示
3. 改善・悪化の要因を説明
「3月からのオンボーディング改善が効いています」
4. 次のアクションを提案
「さらに初回体験を強化することを推奨します」
📝 STEP 23 のまとめ
1. コホートの概念
- 同時期に同じ体験をしたユーザーグループ
- 時間ベース、行動ベース、属性ベースなど
2. リテンション率
- 一定期間後の継続利用率
- リテンション率 = 継続者数 / 初期者数 × 100%
3. コホート表
- 各コホートの行動を時系列で追跡
- ヒートマップで視覚的にパターンを把握
4. 実務活用
- 施策効果の測定
- 改善ポイントの発見
- トレンドの把握
コホート分析は、顧客の長期的な行動を理解する強力なツールです!
コホート分析の価値:
・単純な全体平均では見えないパターンを発見
・施策の長期的な効果を測定
・コホート間の違いから学びを得る
次のSTEP 24では、ファネル分析を学びます!
STEP 24では、「ファネル分析」を学びます。顧客の購買プロセスを段階ごとに分析し、離脱ポイントを特定する方法を習得しましょう!
📝 練習問題
コホート分析とは何ですか?簡潔に説明してください。
コホート分析とは、同じ時期に同じ体験をしたユーザーグループ(コホート)を追跡し、時間経過に伴う行動パターンを分析する手法です。
例:
・1月登録ユーザー、2月登録ユーザー…を別々に追跡
・各コホートのリテンション率(継続率)を比較
・施策効果やトレンドを把握
以下のコホート表を見て、どのコホートが最も優れていますか?
登録月 0ヶ月 1ヶ月 2ヶ月
1月 100% 30% 15%
2月 100% 50% 35%
3月 100% 60% 45%
| 登録月 | 0ヶ月 | 1ヶ月 | 2ヶ月 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 100% | 30% | 15% |
| 2月 | 100% | 50% | 35% |
| 3月 | 100% | 60% | 45% |
理由:
・1月コホート:1ヶ月後30%、2ヶ月後15%
・2月コホート:1ヶ月後50%、2ヶ月後35%
・3月コホート:1ヶ月後60%、2ヶ月後45%
3月コホートが全期間で最も高いリテンション率を示しています。
解釈:
・時間が経つにつれて改善傾向
・サービス改善の効果が表れている可能性
・3月に何か変更があったか確認すべき
1月コホートは100人登録、1ヶ月後に40人が利用していました。
(1) リテンション率を計算してください。
(2) 60人が離脱したことは、何を意味しますか?
(1) リテンション率の計算:
リテンション率 = (1ヶ月後の利用者数 / 初期の利用者数) × 100%
= (40 / 100) × 100%
= 40%
(2) 60人離脱の意味:
・チャーン率60%:10人中6人が離脱
・非常に高い離脱率
考えられる原因:
・オンボーディングが不十分
・サービスの価値が伝わっていない
・競合サービスに流出
改善アクション:
・離脱ユーザーにアンケート
・初回体験(FTU)の改善
・リマインド施策の強化
コホート分析で「縦方向」と「横方向」の読み方の違いを説明してください。
横方向(同じコホート内):
・同じユーザー群の時間経過を追跡
・「このコホートはどう変化したか?」
・減少カーブの形を確認
・例:1月コホートの0ヶ月→1ヶ月→2ヶ月の変化
縦方向(同じ経過月):
・異なるコホートを同じタイミングで比較
・「1ヶ月後の定着率は改善しているか?」
・施策効果の確認
・例:全コホートの「1ヶ月目」リテンションを比較
以下のコホートデータを分析し、改善策を提案してください。
登録月 ユーザー数 0ヶ月 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月
1月 1000 100% 35% 20% 15%
2月 1200 100% 38% 22% 17%
3月 1500 100% 55% 40% 32%
4月 1800 100% 58% 42% –
| 登録月 | ユーザー数 | 0ヶ月 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 1000 | 100% | 35% | 20% | 15% |
| 2月 | 1200 | 100% | 38% | 22% | 17% |
| 3月 | 1500 | 100% | 55% | 40% | 32% |
| 4月 | 1800 | 100% | 58% | 42% | – |
分析結果:
1. 初期離脱:
・1-2月:65%が1ヶ月で離脱(非常に高い)
・3-4月:42-45%が1ヶ月で離脱(改善)
2. トレンド:
・3月から大幅に改善(+17%ポイント)
・3月に何か施策があった可能性
3. 長期定着:
・1-2月コホート:3ヶ月後15-17%
・3月コホート:3ヶ月後32%(2倍以上!)
改善策:
1. 3月の成功要因を分析
・何を変えたか確認して横展開
2. 1-2月コホートへのアプローチ
・休眠ユーザーへの再活性化キャンペーン
・新機能の案内
3. 初期離脱のさらなる改善
・まだ40%以上が1ヶ月で離脱
・オンボーディングのさらなる強化
・初回体験の改善
❓ よくある質問
リテンション率:
・分母:そのコホートの初期ユーザー数
・例:1月登録100人中、2月に40人利用 → 40%
・「登録時から何%残っているか」
アクティブ率:
・分母:全ユーザー数(累積)
・例:全体1000人中、今月400人利用 → 40%
・「今、何%がアクティブか」
使い分け:
・リテンション率:コホートごとの定着度を見る
・アクティブ率:サービス全体の健全性を見る
問題:
・1月登録:10人、2月登録:15人など
・サンプルが小さく、ノイズが大きい
対処法1:複数月をまとめる
・1〜3月登録をまとめて「Q1コホート」
・4〜6月登録をまとめて「Q2コホート」
対処法2:週次コホート
・月次ではなく、週次でコホートを作る
・より細かい変化を追跡できる
目安:
各コホート最低50〜100人は欲しい
手順:
1. データ準備:user_id, signup_date, activity_date
2. 月を計算:=TEXT(signup_date, “yyyy-mm”)
3. 経過月数:=DATEDIF(signup_date, activity_date, “m”)
4. ピボットテーブル:行=登録月、列=経過月数、値=ユーザー数
5. リテンション率:各セル / 0ヶ月の値 × 100
ヒートマップ風表示:
条件付き書式でカラースケールを適用
一般的な目安:
・SaaS:1ヶ月後 60〜70%、12ヶ月後 30〜40%
・モバイルゲーム:1日後 30〜40%、30日後 5〜10%
・Eコマース:3ヶ月後 20〜30%
・SNS:1ヶ月後 40〜50%
重要なのは:
・自社の過去データとの比較
・競合他社とのベンチマーク
・改善傾向にあるか
月次レポート:
・定期的なモニタリング
・経営報告用
施策後の分析:
・大きな変更があった後は即座に
・1週間後、1ヶ月後など複数回確認
ダッシュボード化:
・リアルタイムで確認できる仕組みを作る
・異常値を早期発見
コホート分析:
・時間軸での追跡
・同時期に登録したユーザーの変化を見る
・「1ヶ月後、2ヶ月後…どうなった?」
・用途:リテンション、LTV分析
ファネル分析:
・プロセス軸での追跡
・購買プロセスの各段階を見る
・「訪問→登録→購入…どこで離脱?」
・用途:コンバージョン改善
組み合わせ:
両方を組み合わせることで、より深い分析が可能
学習メモ
ビジネスデータ分析・意思決定 - Step 23