🔽 STEP 24: ファネル分析
顧客の購買プロセスのボトルネックを発見しよう
📋 このステップで学ぶこと
- ファネル分析とは何か
- コンバージョン率(CVR)の計算方法
- ボトルネックの特定方法
- 段階別の改善施策
- PythonとExcelでの実装
学習時間の目安:3時間
🔍 1. ファネル分析とは
基本概念
顧客が商品購入やサービス利用に至るまでの各段階を可視化したもの
ファネルという名前の由来:
・漏斗(ろうと、じょうご)の形に似ているから
・上から下に向かって、だんだん細くなる
・各段階で、ユーザーが減っていく様子を表す
例:ECサイトのファネル
1. サイト訪問:10,000人
2. 商品閲覧:5,000人(50%)
3. カート追加:1,000人(10%)
4. 購入完了:300人(3%)
→ 各段階で離脱が発生している!
なぜファネル分析が重要か
問題:全体CVRだけ見ていると…
・「全体CVR 3%」だけでは、どこに問題があるか分からない
・改善ポイントが特定できない
・施策の効果も測定しにくい
ファネル分析で分かること:
・どこで離脱が多いか?
・どこを改善すべきか?
・改善施策の効果はどうだったか?
具体例:
「カート追加 → 購入のCVRが30%しかない」
→ カゴ落ち対策が必要!と分かる
コンバージョン率(CVR)とは
ある段階から次の段階への移行率
計算式:
CVR = (次の段階の人数 / 前の段階の人数) × 100%
例:
・サイト訪問 → 商品閲覧
CVR = 5,000 / 10,000 × 100% = 50%
・商品閲覧 → カート追加
CVR = 1,000 / 5,000 × 100% = 20%
・カート追加 → 購入完了
CVR = 300 / 1,000 × 100% = 30%
全体CVR(Total CVR):
最初から最後までの変換率
= 300 / 10,000 × 100% = 3%
ファネルの種類
| 種類 | 段階 | 用途 |
|---|---|---|
| マーケティングファネル (AIDA) |
認知 → 興味 → 欲求 → 行動 | 広告効果測定 |
| ECファネル | 訪問 → 閲覧 → カート → 購入 | EC売上改善 |
| SaaSファネル | 訪問 → 登録 → 試用 → 有料化 | SaaS成長 |
| アプリファネル | DL → 起動 → チュートリアル → 継続 | アプリ改善 |
| カスタマージャーニー | 認知 → 検討 → 購入 → 継続 → 推奨 | 顧客体験設計 |
📊 2. ファネル分析の実践
Pythonでの基本実装
ファネル図の可視化
ボトルネックの自動検出
🔧 3. ボトルネックの改善
段階別の改善施策
| 段階 | よくある問題 | 改善施策 |
|---|---|---|
| 訪問→閲覧 | トップページで離脱 何のサイトか分からない |
・ページ速度改善 ・ファーストビュー改善 ・価値提案を明確に |
| 閲覧→カート | 商品に興味を持たない 価格が高い |
・商品説明を充実 ・写真・動画を増やす ・レビュー表示 ・セール実施 |
| カート→購入 | カゴ落ち 決済で離脱 |
・送料無料 ・決済方法追加 ・ゲスト購入可能に ・カゴ落ちメール |
| 登録→利用 | オンボーディング失敗 価値を感じない |
・チュートリアル改善 ・初回特典 ・パーソナライズ |
| 利用→継続 | 習慣化しない 飽きる |
・プッシュ通知 ・連続利用ボーナス ・新機能追加 |
改善の優先順位付け
優先順位の決め方:
1. 高インパクト × 高実現可能性 → 最優先
・例:カートボタンの色変更(簡単で効果的)
2. 高インパクト × 低実現可能性 → 中長期計画
・例:決済システムの全面刷新
3. 低インパクト × 高実現可能性 → クイックウィン
・例:文言の微修正
4. 低インパクト × 低実現可能性 → 後回し
・例:影響が小さい部分の大規模改修
改善効果のシミュレーション
📑 4. Excelでの実装
データ準備と計算式
グラフ作成
📝 STEP 24 のまとめ
1. ファネル分析の基本
- 顧客の購買プロセスを段階的に可視化
- 各段階でどれだけ離脱しているかを把握
2. CVRの計算
- 段階別CVR:前段階からの移行率
- 全体CVR:最初から最後までの変換率
3. ボトルネックの特定
- CVRが極端に低い段階を発見
- 離脱人数が多い段階に注目
4. 改善施策の検討
- 段階別に最適な施策を実施
- インパクト×実現可能性で優先順位付け
ファネル分析は、どこで顧客が離脱しているかを明確にする強力なツールです!
ファネル分析の価値:
・問題のある段階をピンポイントで特定
・改善の優先順位を決められる
・施策の効果測定が容易
次のSTEP 25では、RFM分析を学びます!
STEP 25では、「RFM分析(顧客セグメンテーション)」を学びます。顧客を購買行動で分類し、それぞれに最適なアプローチを取る方法を習得しましょう!
📝 練習問題
ファネル分析とは何ですか?簡潔に説明してください。
ファネル分析とは、顧客が商品購入やサービス利用に至るまでの各段階を可視化し、どこで離脱が発生しているかを分析する手法です。
特徴:
・漏斗(ファネル)のように、段階が進むほどユーザーが減少
・各段階のCVR(コンバージョン率)を計算
・ボトルネック(問題のある段階)を特定
・改善施策の優先順位を決定
以下のファネルで、最もボトルネックとなっている段階はどこですか?
1. サイト訪問:10,000人
2. 商品閲覧:6,000人(CVR 60%)
3. カート追加:900人(CVR 15%)
4. 購入完了:600人(CVR 67%)
理由:
・サイト訪問 → 商品閲覧:60%(問題なし)
・商品閲覧 → カート追加:15%(極端に低い!)
・カート追加 → 購入完了:67%(良好)
改善アクション:
・商品説明を充実させる
・レビュー機能を追加
・期間限定セールを実施
・カートボタンを目立たせる
アプリのファネルが以下の通りです。各段階のCVRを計算し、最も改善すべき段階を特定してください。
1. ダウンロード:50,000人
2. 初回起動:35,000人
3. チュートリアル完了:21,000人
4. 初回利用:14,700人
5. 7日後継続:4,410人
各段階のCVR:
1. DL → 初回起動:35,000 / 50,000 × 100% = 70%
2. 初回起動 → チュートリアル完了:21,000 / 35,000 × 100% = 60%
3. チュートリアル完了 → 初回利用:14,700 / 21,000 × 100% = 70%
4. 初回利用 → 7日後継続:4,410 / 14,700 × 100% = 30%
最も改善すべき段階:
初回利用 → 7日後継続(CVR 30%)
理由:他の段階(60〜70%)と比べて明らかに低い
改善施策:プッシュ通知最適化、初回報酬、連続利用ボーナス
ECサイトで「カート追加→購入完了」のCVRが30%しかありません(70%がカゴ落ち)。考えられる原因と改善施策を3つずつ挙げてください。
考えられる原因:
1. 送料が高い:最後に送料が加算されて驚く
2. 決済方法が少ない:使いたい決済手段がない
3. 入力項目が多い:面倒になって離脱
(他:会員登録必須、セキュリティ不安、在庫切れ発覚など)
改善施策:
1. 送料無料キャンペーン:一定金額以上で送料無料
2. 決済方法の追加:PayPay、Amazon Pay、クレカなど
3. ゲスト購入を可能に:会員登録なしで購入可
(他:入力項目削減、カゴ落ちメール送信、セキュリティバッジ表示など)
以下のファネルデータを分析し、改善の優先順位を付けてください。
段階 ユーザー数 CVR 離脱数
LP訪問 100,000 – –
無料登録 15,000 15% 85,000
オンボーディング完了 9,000 60% 6,000
有料プラン検討 2,700 30% 6,300
有料契約 1,350 50% 1,350
| 段階 | ユーザー数 | CVR | 離脱数 |
|---|---|---|---|
| LP訪問 | 100,000 | – | – |
| 無料登録 | 15,000 | 15% | 85,000 |
| オンボーディング完了 | 9,000 | 60% | 6,000 |
| 有料プラン検討 | 2,700 | 30% | 6,300 |
| 有料契約 | 1,350 | 50% | 1,350 |
分析:
ボトルネック1:LP訪問 → 無料登録(CVR 15%、離脱85,000人)
・CVRが低い&離脱人数が最大
・LPの訴求力不足、CTAが弱い可能性
ボトルネック2:オンボーディング → 有料検討(CVR 30%、離脱6,300人)
・価値を十分に感じていない
・有料プランへの誘導が弱い
優先順位:
1位:LP訪問 → 無料登録の改善
・理由:離脱人数が最大(85,000人)、ここを改善すれば全体に波及
・施策:LPのコピー改善、CTAボタン最適化、社会的証明追加
2位:オンボーディング → 有料検討の改善
・理由:CVR 30%は低め、有料化の直前段階で重要
・施策:価値訴求強化、有料プラン比較表示、限定オファー
理由:ファネルの上流を改善すると、下流に波及効果がある
❓ よくある質問
考え方:
・少なすぎる(2〜3段階):問題の特定が粗い
・多すぎる(10段階以上):複雑で分かりにくい
推奨:
・ECサイト:4〜5段階(訪問→閲覧→カート→購入)
・SaaS:5〜6段階(訪問→登録→試用→有料化)
・アプリ:5〜7段階(DL→起動→チュートリアル→利用→継続)
ポイント:
・意味のある節目で区切る
・測定可能な段階にする
・改善アクションが取れる粒度にする
ECサイト:
・訪問 → 購入:1〜3%(全体CVR)
・商品閲覧 → カート追加:10〜20%
・カート → 購入:30〜50%
SaaS:
・訪問 → トライアル登録:5〜15%
・トライアル → 有料転換:10〜25%
アプリ:
・ダウンロード → 初回起動:60〜80%
・初回起動 → 7日継続:20〜40%
重要:自社データの時系列変化を重視
優先順位の決め方:
1. インパクトを評価
・離脱人数が多い段階
・改善時の売上への影響が大きい
2. 実現可能性を評価
・改善コストが低い
・短期間で実装できる
3. マトリクスで整理
・高インパクト × 高実現可能性 → 最優先
・高インパクト × 低実現可能性 → 中長期計画
・低インパクト × 高実現可能性 → クイックウィン
・低インパクト × 低実現可能性 → 後回し
ファネル分析:
・プロセス軸での追跡
・購買プロセスの各段階を見る
・「訪問→登録→購入…どこで離脱?」
・用途:コンバージョン改善
コホート分析:
・時間軸での追跡
・同時期に登録したユーザーの変化を見る
・「1ヶ月後、2ヶ月後…どうなった?」
・用途:リテンション、LTV分析
組み合わせ:
両方を組み合わせることで、より深い分析が可能
報告の構成:
1. 結論を先に:「カゴ落ち率70%が最大の問題です」
2. ファネル図を表示:視覚的に全体像を共有
3. ボトルネックを強調:赤色などでハイライト
4. 改善インパクトを数字で:「CVR改善で月○万円増」
5. 具体的なアクションを提案:「まず送料無料を実施」
避けるべきこと:
・数字の羅列だけ
・問題提起だけで解決策なし
・専門用語の多用
定期モニタリング:
・週次:急激な変化を早期発見
・月次:トレンドの把握、経営報告
施策後の分析:
・改善施策を実施したら即座に確認
・1週間後、1ヶ月後など複数回
ダッシュボード化:
・リアルタイムで確認できる仕組みを作る
・Google Analytics、Mixpanelなどのツール活用
・異常値の自動アラート設定
学習メモ
ビジネスデータ分析・意思決定 - Step 24