🎯 STEP 3: 分析プロジェクトの進め方
データ分析を成功させる6つのステップを習得しよう
📋 このステップで学ぶこと
- データ分析プロジェクトの全体像
- 6つのステップ(課題理解→データ収集→前処理→分析→解釈→アクションプラン)
- 各ステップでやるべきこと・避けるべき落とし穴
- プロジェクト管理の基本(スケジュール、タスク管理)
- ステークホルダーとのコミュニケーション術
🎯 1. データ分析プロジェクトとは
なぜ「プロジェクト」として進めるのか?
データ分析を「なんとなく」始めると、どうなるでしょうか?
- 途中で「何をやっているかわからなくなる」
- いつまでも終わらない
- 結局、何も成果が出ない
これを防ぐために、「プロジェクト」として体系的に進めることが大切です。
❌ 計画なしの旅行
- どこに行くか決めずに出発
- 気の向くままに移動
- 時間とお金を無駄にする
- 結局、行きたかった場所に行けなかった…
✅ 計画的な旅行
- 目的地を決める:京都に行きたい
- 交通手段を調べる:新幹線で2時間
- 観光ルートを計画:金閣寺→清水寺→嵐山
- 予算とスケジュールを管理
- → 効率的に楽しめた!
データ分析プロジェクトも同じです!
ゴールを決めて、計画を立てて、順序立てて進めることで、確実に成果を出せます。
データ分析プロジェクトの4つの特徴
データ分析をプロジェクトとして進めるとき、意識すべき4つの特徴があります。
何のため:「何を明らかにしたいか」「何を改善したいか」を最初に定義します。
なぜ重要:ゴールがないと、何を分析すればいいかわからず、迷子になります。
何のため:「いつまでに結果を出すか」を決めます。
なぜ重要:期限がないと、ダラダラ続けてしまい、いつまでも終わりません。
何のため:データ収集→分析→レポート作成など、順序立てて進めます。
なぜ重要:いきなり分析を始めると、必要なデータがなくて手戻りが発生します。
何のため:一人で完結せず、関係者と協力して進めます。
なぜ重要:データ提供者、依頼者、実行者など、様々な人の協力が必要です。
たとえ一人で分析する場合でも、「ゴール」「期限」「ステップ」を意識することで、効率的に成果を出せます。自分自身をマネジメントするためのフレームワークとして活用しましょう。
📊 2. データ分析の6つのステップ
データ分析プロジェクトは、6つのステップで進めます。
これは業界標準のフレームワークで、どんなプロジェクトにも応用できます。STEP 1で学んだ「バリューチェーン」と似ていますが、より実務的な手順に落とし込んだものです。
いきなりステップ4「データ分析」から始めるのはNGです!
まず「何を解決したいか」(ステップ1)を明確にしないと、「何のために分析しているのか」がわからなくなり、無駄な分析をしてしまいます。
必ず1→2→3→4→5→6の順番で進めましょう。
各ステップの時間配分の目安
「分析」が一番時間がかかると思いがちですが、実はそうではありません。
| ステップ | 時間配分 | 1週間プロジェクトの場合 |
|---|---|---|
| 1. 課題理解 | 10% | 約4時間 |
| 2. データ収集 | 15% | 約6時間 |
| 3. データ前処理 | 30% | 約12時間 |
| 4. データ分析 | 20% | 約8時間 |
| 5. 結果の解釈 | 10% | 約4時間 |
| 6. アクションプラン | 15% | 約6時間 |
間違い1:前処理を軽視する
「データ分析」に時間をかけすぎて、前処理を雑にしてしまう。実際は、前処理が全体の30%を占めます。地味だけど超重要!
間違い2:アクションプランを作らない
分析結果をまとめて満足してしまい、「で、どうする?」が抜けている。分析で終わらず、必ず行動につなげましょう。
1️⃣ ステップ1:課題理解
このステップでやること
「何を解決したいのか」「なぜそれが重要なのか」を明確にします。
これが曖昧だと、後で必ず迷子になります。「何を分析すればいいかわからない」「分析したけど、結局何がしたかったんだっけ?」という状態を防ぐためのステップです。
- 依頼者にヒアリングする:何を知りたいのか、なぜ今なのか、背景は何か
- ゴールを明確化する:「売上を増やす」ではなく「新規顧客を20%増やす」など具体的に
- 制約条件を確認する:期限、予算、利用可能なデータ、技術的な制約
- 成功の定義を決める:何ができたら「成功」と言えるのか
良い課題定義 vs 悪い課題定義
課題定義の良し悪しで、プロジェクトの成否が決まります。
「売上を増やしたい」
→ 曖昧すぎる。いつまでに?どれくらい?どうやって?
「データを見て何かわかることを教えて」
→ ゴールが不明。何を知りたいの?
「とりあえず分析してほしい」
→ 目的がない。時間の無駄になる可能性大。
「3ヶ月以内に新規顧客を20%増やすため、どのマーケティングチャネルに予算を配分すべきか知りたい」
→ 期限、目標、知りたいことが明確。
「顧客の解約率が高い原因を特定し、リテンション施策を提案してほしい」
→ 課題と期待するアウトプットが明確。
課題理解シート(テンプレート)
以下のテンプレートを使って、課題を整理しましょう。
SMARTの法則
良いゴール設定の基準として、「SMART」という有名なフレームワークがあります。
S – Specific(具体的)
何を、誰が、いつまでに、どうやって、を明確に。
❌「売上を上げる」 → ✅「ECサイトの売上を上げる」
M – Measurable(測定可能)
数値で測れる目標にする。
❌「たくさん売る」 → ✅「月間100件売る」
A – Achievable(達成可能)
現実的に達成できる目標にする。
❌「売上を10倍にする」 → ✅「売上を20%増やす」
R – Relevant(関連性)
ビジネス目標と一致している。
❌「とにかくPV数を増やす」 → ✅「購入につながるPV数を増やす」
T – Time-bound(期限)
いつまでに達成するかを決める。
❌「いつか達成する」 → ✅「3ヶ月以内に達成する」
「早くデータ分析を始めたい!」と焦る気持ちはわかります。でも、課題理解を疎かにすると、後で大きな手戻りが発生します。「急がば回れ」です。最初の10%の時間をしっかり使って、ゴールを明確にしましょう。
2️⃣ ステップ2:データ収集
このステップでやること
課題解決に必要なデータを集めます。
「どんなデータが必要か」「どこにデータがあるか」「どうやって取得するか」を計画し、実際にデータを入手します。
- 必要なデータを洗い出す:売上データ、顧客データ、アクセスログなど、課題解決に必要なデータは何か
- データの所在を確認する:どのシステムにあるか、誰が管理しているか
- データへのアクセス権を取得する:必要なら申請。個人情報には注意
- データを取得する:CSV、Excel、API、SQLなどで抽出
- データの質を確認する:欠損、古さ、信頼性をチェック
データの種類と取得方法
| データの種類 | 具体例 | 取得方法 |
|---|---|---|
| 内部データ | 売上、在庫、顧客情報、アクセスログ | 社内データベース、CRM、POSシステム、Google Analytics |
| 外部データ | 競合価格、市場データ、天気、人口統計 | 公開データ(e-Stat等)、API、Webスクレイピング、有料データ購入 |
| アンケート | 顧客満足度、購買動機、ニーズ | Googleフォーム、SurveyMonkey、対面調査 |
| 実験データ | A/Bテスト結果、トライアル販売 | テストツール(Google Optimize等)、手動記録 |
データ収集でよくある落とし穴
問題1:データがない
必要なデータが存在しない、または記録されていない。
対策:早めに確認し、なければ代替データを探すか、今から記録を始める。
問題2:アクセス権がない
データはあるが、見る権限がない。
対策:早めに申請。承認に時間がかかることがある。
問題3:データが古い
最新のデータが取得できず、古いデータしかない。
対策:データの鮮度を確認し、古すぎる場合は分析の限界として明記。
問題4:フォーマットがバラバラ
Excelファイルごとに列名や形式が違う。
対策:前処理で統一する。次回からはフォーマットを統一してもらうよう依頼。
問題5:データが大きすぎる
Excelで開けない(100万行超)。
対策:PythonやSQLを使うか、サンプルデータで分析。
- ☑ 必要なデータがすべて揃っているか
- ☑ データの期間は十分か(最低3ヶ月、できれば1年以上)
- ☑ データの粒度は適切か(日次、週次、月次など)
- ☑ データの質は問題ないか(欠損率、異常値の有無)
- ☑ 個人情報保護のルールを守っているか
- ☑ データの定義は明確か(「売上」の定義は?税込?税抜?)
3️⃣ ステップ3:データ前処理
このステップでやること
集めたデータを分析できる状態に整えます。
「データクリーニング」とも呼ばれる、地味だけど全体の30%の時間を占める重要なステップです。料理で言えば「下ごしらえ」。これを怠ると、美味しい料理(正確な分析)はできません。
- 欠損値の処理:空白セルをどうするか(削除?補完?)
- 重複データの削除:同じデータが複数回入っていないか
- データ型の統一:日付形式、数値形式などを統一
- 異常値の検出と処理:明らかにおかしいデータを見つけて対処
- データの統合:複数のファイルを1つにまとめる
- 列名の統一:わかりやすい名前に変更
前処理の具体例
実際のデータがどのように「汚い」状態から「きれい」な状態になるか見てみましょう。
欠損値の処理方法
データに空白(欠損値)がある場合、いくつかの処理方法があります。状況に応じて最適な方法を選びましょう。
| 処理方法 | 説明 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 削除 | 欠損がある行を丸ごと削除 | データ量が十分にある場合 |
| 平均値で補完 | 数値データの場合、平均値で埋める | 簡単に処理したい場合 |
| 中央値で補完 | 平均値より異常値の影響を受けにくい | 外れ値がある場合 |
| 前後の値で補完 | 前後の値から推定して埋める | 時系列データの場合 |
| 最頻値で補完 | 最も多く出現する値で埋める | カテゴリデータ(性別など)の場合 |
| 「不明」として扱う | 欠損を明示的に「不明」カテゴリにする | 欠損自体に意味がある場合 |
原則1:元データは必ず保存する
前処理前のデータをバックアップ。「元に戻したい」ときのため。
原則2:処理内容を記録する
何をしたか後でわかるように。他の人が再現できるように。
原則3:自動化できるものは自動化
PythonスクリプトやExcelマクロで、同じ処理を繰り返せるように。
原則4:処理後のデータを確認する
意図しない変更がないか、データの件数が減りすぎていないか確認。
4️⃣ ステップ4:データ分析
このステップでやること
整えたデータを計算・集計・可視化して、洞察を引き出します。
最も「分析らしい」ステップですが、実は全体の20%程度の時間です。前処理がしっかりできていれば、分析自体はスムーズに進みます。
- 基本統計量を計算する:平均、合計、最大、最小、標準偏差など
- グラフを作成する:折れ線、棒、円グラフなどで可視化
- セグメント別に分析する:年代別、地域別、商品カテゴリ別など
- トレンドを把握する:増加傾向なのか、減少傾向なのか
- 相関を確認する:2つの変数の関係を調べる
- 仮説を検証する:予想通りか、意外な発見はないか
分析の基本フロー
データ分析は、以下の順番で進めると効率的です。
ステップ1:全体像を把握
まず、データ全体の傾向を見ます。
例:売上全体の推移をグラフ化、主要KPIの確認
ステップ2:詳細に分解
全体を細かく分けて、どこに問題があるか探します。
例:商品別、顧客別、地域別に分析
ステップ3:比較する
基準となるものと比較して、良い/悪いを判断します。
例:前年同期比、前月比、計画比、競合他社比較
ステップ4:パターンを探す
データの中に隠れた規則性を見つけます。
例:季節性、曜日パターン、相関関係
よく使う分析手法
平均、中央値、標準偏差など。データの特徴を数値で表します。
使う場面:「平均客単価は3,000円」「売上のばらつきは大きい」など
グラフで表現。一目でわかるのが利点。
使う場面:売上推移の折れ線グラフ、商品別売上の棒グラフなど
グループごとに分けて比較。違いを見つけます。
使う場面:年代別の購入率比較、地域別の売上比較など
2つの変数の関係を調べます。関連性を発見。
使う場面:広告費と売上の関係、気温とアイス売上の関係など
落とし穴1:分析のやりすぎ
いろんな分析をしすぎて、結局何が重要かわからなくなる。
対策:課題に直接関係する分析に集中する。
落とし穴2:相関と因果の混同
相関があっても、因果関係があるとは限らない。
例:アイスの売上と水難事故は相関するが、アイスが事故を起こすわけではない(両方とも「暑さ」が原因)。
対策:「相関がある」と「原因である」は区別する。
落とし穴3:サンプルサイズ不足
データが少なすぎると、結論が信頼できない。
対策:最低でも30件以上のデータが必要。重要な分析は100件以上推奨。
5️⃣ ステップ5:結果の解釈
このステップでやること
分析結果から「だから何?」(So What?)を考えます。
数字やグラフは「事実」を示しますが、それだけでは行動につながりません。「この事実が、ビジネスにとって何を意味するのか」を考えるのがこのステップです。
- So What?(だから何?)を考える:この数字が意味することは何か
- Why So?(なぜそうなる?)を考える:なぜこの結果になったのか
- ビジネスへの影響を考える:売上、利益、顧客満足にどう影響するか
- 複数の解釈を検討する:他の可能性はないか
- データの限界を認識する:この分析では言えないこと、確実でないこと
So What? の実例
「事実」から「解釈」への変換例を見てみましょう。
例1:
事実:先月の売上が前月比10%減少
So What?(だから何?):このままでは今月も減少する可能性が高い。原因を特定し、対策を打つ必要がある。
→ アクション:原因を調査し、対策を立てる
例2:
事実:20代顧客の購入率が他の年代より30%高い
So What?(だから何?):20代にターゲットを絞ったマーケティングを強化すれば、効率的に売上を伸ばせる。
→ アクション:20代向け広告を増やす
例3:
事実:金曜日の夕方5〜7時の売上が一番多い
So What?(だから何?):この時間帯のリソースを強化すれば、さらに売上を伸ばせる。逆に他の時間帯は効率化の余地がある。
→ アクション:金曜夕方のスタッフを増員、品揃えを強化
Why So? で深掘りする
「なぜそうなったか」を繰り返し問うことで、根本原因にたどり着けます。
- 具体的である:「改善が必要」ではなく「20代向け広告を2倍に増やすべき」
- アクション可能である:実際に行動に移せる内容
- 根拠が明確である:データのどの部分から導いたかわかる
- ビジネスインパクトを示す:売上、利益、顧客満足への影響を明示
6️⃣ ステップ6:アクションプラン
このステップでやること
解釈をもとに具体的な行動計画を立てます。
これがないと、分析が「やっただけ」で終わってしまいます。データ分析の最終ゴールは「行動を変えること」です。
- 具体的な施策を提案する:誰が、何を、いつまでに
- 優先順位をつける:インパクトと実行難易度で判断
- KPI(成功指標)を設定する:何が改善されたら成功か
- 予算・リソースを見積もる:実行に必要なもの
- 効果測定の方法を決める:どうやって検証するか
アクションプランのテンプレート
優先順位のつけ方
複数の施策がある場合、どれから始めるべきでしょうか?「インパクト」と「実行難易度」の2軸で判断します。
| 実行が簡単 | 実行が難しい | |
|---|---|---|
| インパクト大 | 🥇 最優先 すぐ実行! |
🥈 中期的に実行 計画的に準備 |
| インパクト小 | 🥉 余裕があれば 簡単なのでやっても良い |
❌ 後回し 優先度低い |
原則1:SMARTであること
具体的、測定可能、達成可能、関連性、期限のあるゴール
原則2:小さく始める
いきなり大規模にやらず、テストしてから拡大
原則3:効果測定を必ず行う
やりっぱなしにしない。結果を測定して次に活かす
原則4:PDCAサイクルを回す
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(測定)→ Act(改善)を繰り返す
🤝 3. ステークホルダーとのコミュニケーション
ステークホルダーとは?
ステークホルダーとは、プロジェクトに関わる人・影響を受ける人のことです。
データ分析は一人では完結しません。様々な人と協力し、コミュニケーションを取りながら進める必要があります。
分析を依頼した人。経営層、部門長など。
役割:最終的な意思決定者。予算を承認する人。
データを持っている人。IT部門、営業部門など。
役割:データを提供してもらう。協力が不可欠。
アクションプランを実行する人。現場スタッフなど。
役割:施策を実行してもらう。納得感が大切。
一緒にプロジェクトを進める人。
役割:協力して作業。役割分担が重要。
コミュニケーションの3つのタイミング
1. 初期段階:期待値を合わせる
- 何ができて、何ができないかを明確に伝える
- スケジュールと必要なリソースを事前に共有
- 「魔法のような分析」を期待されないよう注意
2. プロジェクト中:こまめに報告
- 週1回など、定期的に進捗を共有
- 問題があれば早めに相談(悪いニュースほど早く)
- 「中間報告」で方向性を確認
3. 最終報告:わかりやすく伝える
- 結論を先に伝える(エグゼクティブサマリー)
- グラフや図を使って視覚的に
- 専門用語を避ける、または説明する
- アクションプランを必ず提示
相手に合わせた説明の仕方
| 相手 | 説明のポイント |
|---|---|
| 経営層 | 結論とビジネスインパクトを1分で説明。詳細は求められたら。「売上が10%増える見込み」など数値で示す |
| 現場担当者 | 「なぜそうなるか」の根拠を丁寧に説明。実行する側なので納得感が大切 |
| 技術者 | 分析手法や技術的な詳細も含めて説明。データの質、サンプルサイズなども気にする |
| 非専門家 | 専門用語を使わず、例え話で説明。「つまり、こういうことです」と要約 |
- 専門用語の乱用:「p値が0.05未満で有意差が…」→ 相手が理解できない
- 結論を言わない:分析結果だけ見せて、「どうすべきか」を言わない
- 一方的に話す:相手の反応を見ず、延々と説明
- 問題点だけ指摘:批判だけして、解決策を提案しない
- 報告が遅い:期限ギリギリまで何も言わず、間に合わない
📝 STEP 3 のまとめ
1. データ分析プロジェクトの6つのステップ
- 課題理解:何を解決したいのか明確にする
- データ収集:必要なデータを集める
- データ前処理:データをきれいに整える(全体の30%)
- データ分析:計算・可視化して洞察を得る
- 結果の解釈:「So What?」を考える
- アクションプラン:具体的な行動計画を立てる
2. 各ステップのポイント
- 必ず1→6の順番で進める(飛ばさない)
- 前処理に十分な時間をかける
- 分析で終わらず、必ずアクションプランまで作る
3. ステークホルダーコミュニケーション
- 初期に期待値を合わせる
- 途中でこまめに報告する
- 相手に合わせた説明をする
データ分析プロジェクトの成功は、「技術力」よりも「プロジェクト管理力」で決まります。
いくら高度な分析ができても、期限に間に合わない、結論が出ない、行動につながらないでは意味がありません。
6つのステップを順番通りに、着実に進めることが成功の鍵です。
次のSTEP 4では、「ビジネス課題の発見と定義」を学びます。正しい課題を見つけ、構造化する方法(MECE、ロジックツリー、SMART)を習得しましょう!
📝 理解度チェック
学んだ内容を確認しましょう。解答を見る前に、まず自分で考えてみてください。
データ分析プロジェクトの6つのステップを順番に答えてください。
- 課題理解:何を解決したいのか明確にする
- データ収集:必要なデータを集める
- データ前処理:データをきれいに整える
- データ分析:データを計算・可視化して洞察を得る
- 結果の解釈:分析結果から「だから何?」を考える
- アクションプラン:具体的な行動計画を立てて実行
覚え方のコツ:「課題 → 収集 → 前処理 → 分析 → 解釈 → アクション」。最初の「課題」と最後の「アクション」を特に意識。目的なしに始めない、分析で終わらせない。
データ前処理が全体の何%の時間を占めると言われていますか?また、なぜそれほど時間がかかるのですか?
時間配分:約30%(全体の約3分の1)
時間がかかる理由:
- 欠損値の処理:空白セルをどう埋めるか検討・実行
- 重複データの削除:同じデータがないか確認・削除
- データ型の統一:日付形式、数値形式などがバラバラ
- 異常値の検出と処理:明らかにおかしいデータを見つけて対処
- 複数ファイルの統合:形式が違うデータを1つにまとめる
補足:「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れればゴミが出る)」という格言があるように、前処理を怠ると分析結果が間違ってしまいます。地味だけど超重要!
「売上を増やしたい」という課題は、なぜ良い課題定義ではないのですか?また、SMARTの法則に沿って改善してください。
なぜ良くないか:
- 曖昧すぎる(いつまでに、どれくらい増やすのか不明)
- 測定可能でない(具体的な数値目標がない)
- アクションにつながらない(どうやって増やすかわからない)
SMARTに沿った改善例:
「3ヶ月以内(T)に、新規顧客を20%増やす(M)ことで、月間売上を500万円から600万円に増やす(S, M)。これは事業計画の売上目標達成(R)に貢献し、現状のリソースで達成可能(A)」
- Specific:新規顧客を増やすことで売上増
- Measurable:20%増、売上600万円
- Achievable:現実的な目標
- Relevant:事業計画と一致
- Time-bound:3ヶ月以内
データに欠損値(空白セル)がある場合の処理方法を3つ挙げ、それぞれどんな場面で使うか説明してください。
- 削除
欠損がある行を丸ごと削除する。
使う場面:データ量が十分にある場合。削除しても残りのデータで分析できる場合。 - 平均値で補完
数値データの場合、その列の平均値で埋める。
使う場面:データの分布が正規分布に近く、外れ値が少ない場合。 - 中央値で補完
平均値より異常値の影響を受けにくい中央値で埋める。
使う場面:外れ値(異常に大きい/小さい値)がある場合。 - 最頻値で補完
最も多く出現する値で埋める。
使う場面:カテゴリデータ(性別、地域など)の場合。 - 前後の値で補完
時系列データで、前後の値から推定して埋める。
使う場面:日次データなど、時間の流れがあるデータ。
※3つ以上挙げていますが、いずれか3つで正解です。
あなたがカフェの店長だとします。「最近売上が下がっている」という課題を、6つのステップでどう進めるか、具体的に考えてください。
1️⃣ 課題理解
- 課題:過去3ヶ月で売上が15%減少。原因を特定し、1ヶ月以内に改善策を実行したい
- ゴール(SMART):2週間で原因を特定し、翌月の売上を前月比10%回復させる
- 成功の定義:原因が特定でき、効果的な改善策を1つ以上実行できる
2️⃣ データ収集
- レジの売上データ(日付、時間、商品、金額)を過去1年分収集
- 顧客数データ(時間帯別)
- 天気データ(外部データ)
- 近隣の競合情報(口コミ、価格など)
3️⃣ データ前処理
- Excelにまとめて、日付形式を統一(YYYY-MM-DD)
- 曜日・時間帯の列を追加
- 重複データを削除
- 欠損値を確認(あれば処理)
4️⃣ データ分析
- 月別売上推移グラフを作成 → どこから減り始めたか
- 曜日別・時間帯別の売上分析 → いつ減っているか
- 商品別売上ランキング → 何が売れなくなったか
- 発見:平日の午後2〜5時の売上が40%減少している
5️⃣ 結果の解釈
- So What?:平日午後の客数が減っている
- Why So?:3ヶ月前に近くに競合カフェがオープンした → 平日午後の客を奪われている可能性
- ビジネスインパクト:このままでは年間売上が100万円以上減少する見込み
6️⃣ アクションプラン
- 施策:「平日午後限定のお得なセット(ケーキ+ドリンク500円)」を来週から開始
- 担当者:店長(自分)
- KPI:午後の客数を1日20人→30人に増やす
- 効果測定:毎日の客数を記録し、1週間ごとに効果を確認。2週間効果がなければ別の施策を検討
❓ よくある質問
依頼者と相談して、現実的な期限を設定しましょう。
目安として:
- 簡単な分析(既存データの集計):1週間
- 中規模の分析(複数データの統合、基本的な予測):2〜4週間
- 大規模な分析(新しいデータ収集、高度な予測モデル):1〜3ヶ月
ただし、データの入手に時間がかかる場合は、それを考慮して期限を延ばしましょう。「急ぎの依頼」でも、最低1週間は確保することを推奨します。
それは正常です。前処理は全体の30%を占めます。
時間を短縮する対策:
- 自動化する:Pythonのpandasライブラリを使えば、繰り返し作業を自動化できる
- スクリプト化する:よく使う前処理は、スクリプトとして保存して再利用
- 完璧を求めない:80%できたら次に進む。完璧なデータは存在しない
- データ提供者に協力を求める:次回から「きれいなデータ」で提供してもらうよう依頼
前処理スキルは、経験を積むほど速くなります。最初は時間がかかっても大丈夫です。
「当たり前」でも価値があります。
「思っていた通りだ」という結果でも、データで裏付けられたことに意味があります。
例えば:
- 「やっぱり20代に人気だった」→ データで証明できたので、自信を持って20代向け施策を実行できる
- 「思ったほど効果がなかった」→ 無駄な投資を避けられた
「当たり前」を数値で示すことで、社内の合意形成がしやすくなります。また、「意外な発見」を求めすぎると、偶然の結果を過大評価してしまう危険もあります。
優先順位をつけましょう。
全員の要望を100%満たすことは不可能です。以下の基準で優先順位を決めます:
- 意思決定者(スポンサー)の要望を最優先
- プロジェクトのゴールに直結する要望を優先
- それ以外は「できれば対応」または「次回対応」
また、プロジェクトの最初に「スコープ(範囲)」を明確にして、「これはやる、これはやらない」を合意しておくことが大切です。「あれもこれも」と欲張ると、何も完成しません。
状況によります。判断基準は「インパクト」と「残り時間」です。
判断フロー:
- 新しいデータで、結論が大きく変わる可能性がある → やり直しを検討
- 結論が変わらない、または微修正で済む → 現在の分析を続ける
- 期限が迫っている → 今回は既存データで進めて、次回改善
依頼者に相談して、「新しいデータを使うと、こういうメリットがあるが、〇日遅れる」と説明し、判断を仰ぎましょう。データ分析は「完璧」を目指すのではなく、「期限内にベストを尽くす」ことが大切です。
一人でも6つのステップは同じです。
一人で進める場合のポイント:
- 自分自身で課題理解シートを作成:ゴールと期限を明確にする
- タスクを細分化:「今日は前処理」「明日は分析」など、日ごとの目標を設定
- 定期的に振り返り:週1回、進捗を確認。遅れていたらスケジュール調整
- 誰かに報告する機会を作る:上司や同僚に進捗を報告することで、モチベーション維持と品質向上
一人だからこそ、「なんとなく」進めてしまいがち。意識的にプロジェクト管理をしましょう。
学習メモ
ビジネスデータ分析・意思決定 - Step 3