🔍 STEP 4: ビジネス課題の発見と定義
正しい課題を見つけ、構造化するスキルを身につけよう
📋 このステップで学ぶこと
- なぜ「正しい課題を見つけること」が最も重要なのか
- 課題発見の3つのアプローチ(トップダウン、ボトムアップ、外部情報)
- MECEの考え方 – 漏れなく、ダブりなく整理する技術
- ロジックツリー – 課題を分解して構造化する方法
- SMART基準で課題を明確に定義する
🎯 1. なぜ「正しい課題を見つけること」が重要なのか
間違った課題を解いても意味がない
データ分析で最もよくある失敗は何でしょうか?
実は、「分析手法が間違っている」ではなく、「そもそも解くべき課題が間違っている」というケースが非常に多いのです。
シーン:患者さんが「頭が痛い」と訴えています
❌ 悪い医者
「頭が痛いのですね。では、頭痛薬を処方します」
→ 実は原因は「ひどい肩こり」だった。頭痛薬を飲んでも、根本原因が解決していないので、すぐにまた頭痛が起きる
✅ 良い医者
「頭が痛いのですね。いつから?どこが?どんな風に?最近の生活は?」と詳しく聞く
- デスクワークが増えた → 姿勢が悪い → 肩こり → 頭痛
「根本原因は肩こりですね。姿勢の改善とストレッチを処方します」
→ 根本原因を解決したので、頭痛が再発しなくなった
ビジネスの課題解決も同じです。
「見えている問題」ではなく「本当の原因」を見つけることが大切。
「課題設定力」がデータアナリストの価値を決める
データ分析のスキルは、大きく2つに分けられます。
Excel、Python、SQLなどのツールを使いこなす力。統計手法や機械学習の知識。
特徴:AIやツールの進化で、ある程度代替可能になってきている。
「何を分析すべきか」を見極める力。ビジネスの本質を理解し、正しい問いを立てる力。
特徴:AIでは代替が難しい、人間ならではのスキル。
AIは「与えられた課題を解く」のは得意ですが、「解くべき課題を見つける」のは苦手です。
つまり、「正しい問いを立てられる人」がますます重要になっています。
分析の腕前よりも、「何を分析すべきか」を決められる力こそが、データアナリストの真の価値です。
「課題」と「問題」の違いを理解しよう
日常会話では「課題」と「問題」を同じ意味で使いますが、ビジネスでは区別することが大切です。
| 用語 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 現状(As-Is) | 今の状態 | 月間売上が500万円 |
| あるべき姿(To-Be) | 目標とする状態 | 月間売上600万円を目指したい |
| 問題(Problem) | 現状とあるべき姿のギャップ | 売上が100万円足りない |
| 課題(Issue) | 問題を解決するために取り組むべきこと | 新規顧客を20%増やす |
「売上が足りない」という問題だけでは、何をすればいいかわかりません。「新規顧客を20%増やす」という課題に落とし込むことで、初めて具体的なアクションを考えられます。データ分析も、課題が明確でないと「何のために分析するのか」がわからなくなります。
🔍 2. 課題発見の3つのアプローチ
課題はどうやって見つければいいのでしょうか?3つのアプローチがあります。
アプローチ1:トップダウン型(経営目標から逆算)
経営目標や事業計画から逆算して、課題を特定するアプローチです。
ステップ1:経営目標を確認
「今期の売上目標は前年比120%」
ステップ2:現状とのギャップを把握
「現在のペースだと110%しか達成できない見込み」
ステップ3:ギャップの原因を分解
「新規顧客数が計画を下回っている」「既存顧客の購入頻度が下がっている」
ステップ4:課題を特定
「新規顧客獲得のマーケティング施策を改善する」「既存顧客へのリテンション施策を強化する」
- 経営目標と直結しているので、重要度が高い
- 上層部の支持を得やすい
- 成果が出れば、ビジネスインパクトが大きい
アプローチ2:ボトムアップ型(現場の声から発見)
現場で起きている問題や違和感から課題を見つけるアプローチです。
ステップ1:現場の声を集める
「最近、お客様から『商品が見つけにくい』というクレームが増えている」
ステップ2:データで裏付けを取る
「サイトの離脱率を調べると、商品一覧ページで80%が離脱している」
ステップ3:影響範囲を確認
「月間で約1000人が離脱 → 推定損失は月100万円」
ステップ4:課題を特定
「商品検索・絞り込み機能を改善して、離脱率を50%に下げる」
- 現場のリアルな問題を解決できる
- 実行する人が納得感を持ちやすい
- すぐに効果が見えやすい
アプローチ3:外部情報型(市場・競合から発見)
市場動向、競合他社、業界トレンドから課題を見つけるアプローチです。
ステップ1:外部情報を収集
「競合A社がサブスクリプションモデルを導入し、急成長している」
ステップ2:自社への影響を分析
「このままでは顧客を奪われる可能性がある」
ステップ3:機会と脅威を評価
「サブスクモデルは当社にも適用可能。先行者利益を得られるかも」
ステップ4:課題を特定
「3ヶ月以内にサブスクリプションモデルの導入可能性を検討する」
- 競合に先んじることができる
- 市場の変化に対応できる
- 新しい成長機会を発見できる
3つのアプローチの使い分け
| アプローチ | 適した状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| トップダウン型 | 経営目標の達成が求められる時、全社的な課題に取り組む時 | 現場の実情と乖離していないか確認が必要 |
| ボトムアップ型 | 現場に問題が山積している時、すぐに効果を出したい時 | 小さな改善に留まり、大きな課題を見逃す可能性 |
| 外部情報型 | 市場が急変している時、新規事業を検討する時 | 情報の信頼性を確認、自社への適用可能性を検討 |
どれか1つだけではなく、3つを組み合わせることで、多角的に課題を発見できます。例えば、「経営目標(トップダウン)を達成するために、現場の声(ボトムアップ)を聞きながら、競合の動き(外部情報)も参考にする」というアプローチが理想的です。
📊 3. MECE – 漏れなく、ダブりなく整理する
MECEとは何か?
MECE(ミーシー)は、「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略で、日本語では「漏れなく、ダブりなく」という意味です。
課題を整理したり、選択肢を検討したりする時に、「見落とし」や「重複」がないようにするための考え方です。
Mutually Exclusive(相互排他的)= 要素同士が重ならない(ダブりなし)
Collectively Exhaustive(全体網羅的)= 全体として漏れがない
つまり、「全部を網羅していて、かつ重複がない」状態のことです。
MECEの具体例
身近な例で、MECEかどうかを判断してみましょう。
年齢で分ける場合:
- 10代以下
- 20代
- 30代
- 40代
- 50代以上
→ すべての人がどれか1つに当てはまる。重複もない。
顧客を分ける場合:
- 男性
- 若者
- 東京在住
→ 「東京在住の若い男性」はどこに入る?ダブりがある。
→ 「大阪在住の中年女性」はどこにも入らない。漏れがある。
よく使うMECEの切り口
課題を分解する際に、よく使われるMECEの切り口を紹介します。
| 切り口 | 分解例 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 時間軸 | 過去・現在・未来 短期・中期・長期 |
計画を立てる時、トレンドを分析する時 |
| プロセス | 認知→興味→比較→購入→リピート | 顧客行動を分析する時、ボトルネックを探す時 |
| 対象 | 新規顧客・既存顧客 法人・個人 |
ターゲットを絞る時、施策を考える時 |
| 地域 | 国内・海外 関東・関西・その他 |
エリア戦略を考える時 |
| 要素分解 | 売上 = 客数 × 客単価 利益 = 売上 – コスト |
KPIを分解する時、原因を特定する時 |
| 対比 | 内部・外部 強み・弱み |
状況を整理する時(SWOT分析など) |
MECEを使った課題分解の例
ステップ1:売上の公式で分解
売上 = 客数 × 客単価
- 客数が減っている?
- 客単価が下がっている?
ステップ2:客数をさらに分解
客数 = 新規顧客 + 既存顧客
- 新規顧客が減っている?
- 既存顧客(リピーター)が減っている?
ステップ3:新規顧客をさらに分解
新規顧客の流入経路で分解
- Web広告経由が減っている?
- SNS経由が減っている?
- 紹介経由が減っている?
- 自然検索経由が減っている?
→ 結論
分析の結果、「Web広告経由の新規顧客が50%減少」していることが判明。
課題は「Web広告の効果改善」に絞られた!
- 見落としを防げる:すべての可能性を検討できる
- 議論が噛み合う:同じフレームワークで話せる
- 優先順位をつけやすい:分解した要素を比較できる
- 説明しやすい:構造的に整理されているので、相手に伝わりやすい
完璧なMECEを目指しすぎない
現実のビジネスでは、完全にMECEにできないことも多いです。「だいたいMECE」で十分。完璧を目指して時間をかけすぎるのは本末転倒です。
分解しすぎない
細かく分解しすぎると、かえって複雑になります。「これ以上分解しても意味がない」と思ったら止めましょう。通常は2〜3階層で十分です。
🌳 4. ロジックツリー – 課題を構造化する
ロジックツリーとは何か?
ロジックツリーは、課題や問題をツリー状(木の枝のように)に分解・構造化するフレームワークです。
MECEの考え方を使って、大きな課題を小さな課題に分解していきます。これにより、「どこに問題があるか」「何から取り組むべきか」が明確になります。
ロジックツリーは「家系図」に似ています。
- 一番上に「祖先(大きな課題)」がいて
- その下に「子ども(中くらいの課題)」がいて
- さらに下に「孫(小さな課題)」がいる
枝分かれしながら、どんどん細かくなっていくイメージです。
ロジックツリーの3つの種類
ロジックツリーには、目的によって3つの種類があります。
目的:「何で構成されているか」を分解する
問いかけ:「〇〇は何でできている?」
使う場面:売上の構成要素を把握したい時、全体像を理解したい時
目的:「なぜそうなるのか」原因を探る
問いかけ:「なぜ?」を繰り返す
使う場面:問題の根本原因を特定したい時
目的:「どうやって解決するか」を考える
問いかけ:「どうすれば?」
使う場面:解決策を網羅的に洗い出したい時
Whatツリーの例:売上を分解する
このように売上を分解すると、「どこに問題があるか」を特定しやすくなります。例えば、「売上が下がった」原因が「Web広告経由の新規顧客」にあるとわかれば、そこに集中して対策を考えられます。
Whyツリーの例:売上減少の原因を探る
トヨタ生産方式で有名な「5 Whys(なぜなぜ分析)」という手法があります。「なぜ?」を5回繰り返すと、表面的な原因ではなく根本原因(Root Cause)にたどり着けます。
上の例では、「売上が下がった」という表面的な問題から、「競合が増えてCPCが高騰」「紹介キャンペーン終了」「競合の値下げ」という具体的な根本原因が見つかりました。
Howツリーの例:売上を上げる方法を考える
Howツリーを作ると、解決策を網羅的に洗い出せます。その中から、インパクトが大きく実行しやすいものを選んで実行します。
上の例では、「紹介キャンペーンを再開する」「セット販売を提案する」など、具体的なアクションが見えてきました。
ロジックツリーの作り方
ステップ1:頂点(テーマ)を決める
「売上を上げる」「コストを削減する」「顧客満足度を上げる」など
ステップ2:MECEを意識して分解する
漏れなく、ダブりなく、第1階層を作る
ステップ3:さらに細かく分解する
第2階層、第3階層…と深掘りしていく
ステップ4:分解を止める判断をする
「これ以上分解しても意味がない」「具体的なアクションが見えた」ところで止める
ステップ5:見直して調整する
漏れやダブりがないか確認。必要なら追加・修正
- 深すぎる分解:4階層以上になると複雑すぎて使いにくい。通常は2〜3階層で十分
- MECEになっていない:重複や漏れがあると、分析が不完全になる
- 抽象的すぎる:「改善する」ではなく「〇〇を△△にする」と具体的に
- 作って満足:ロジックツリーは分析のツール。作ることが目的ではない
🎯 5. SMART基準 – 課題を明確に定義する
SMARTとは何か?
課題やゴールを設定する際の品質チェック基準です。STEP 3でも紹介しましたが、ここでさらに詳しく学びます。
SMARTを満たす課題定義にすることで、「何をすべきか」が明確になり、進捗も測定しやすくなります。
| 頭文字 | 意味 | チェックポイント |
|---|---|---|
| S | Specific(具体的) | 誰が見ても同じ解釈ができるか? |
| M | Measurable(測定可能) | 数値で測れるか?達成したかわかるか? |
| A | Achievable(達成可能) | 現実的に達成できるか?無理すぎないか? |
| R | Relevant(関連性) | ビジネス目標と関連があるか?意味があるか? |
| T | Time-bound(期限) | いつまでに達成するか決まっているか? |
SMARTの各要素を詳しく見る
S – Specific(具体的)
- 「売上を増やす」
- 「顧客満足度を上げる」
- 「業務を効率化する」
→ 人によって解釈が異なる。何をすればいいかわからない。
- 「ECサイトの月間売上を500万円から600万円に増やす」
- 「NPSスコアを30から50に上げる」
- 「レポート作成時間を月20時間から10時間に短縮する」
→ 誰が見ても同じ理解ができる。
M – Measurable(測定可能)
- 達成したかどうか判断できない
- 進捗状況がわからない
- 改善したかどうかわからない
測定可能にするポイント:
- 数値化する:「増やす」→「20%増やす」
- 指標を決める:「満足度を上げる」→「NPSを50にする」
- Yes/Noで判断できる:「〇〇を導入する」→導入したかどうかは明確
A – Achievable(達成可能)
高すぎる目標の例:
「来月までに売上を10倍にする」
→ 現実的に不可能。チームのモチベーションが下がる。
低すぎる目標の例:
「来年までに売上を1%増やす」
→ 簡単すぎて、努力する意味を感じない。
- ストレッチ目標:少し頑張れば達成できるレベル(現状の10〜30%増など)
- 過去の実績を参考に:「去年は15%成長したから、今年は20%を目指す」
- リソースを考慮:予算、人員、時間で達成可能か確認
R – Relevant(関連性)
どんなに頑張って達成しても、ビジネス目標と関係なければ意味がありません。
関連性がない例:
会社の目標が「利益を増やすこと」なのに、「SNSフォロワーを10万人増やす」を課題にする。
→ フォロワーが増えても、売上や利益につながらなければ意味がない。
関連性がある例:
「SNSフォロワーを10万人増やし、そこから月間100人の新規顧客を獲得する」
→ 売上・利益につながる目標になっている。
T – Time-bound(期限)
- いつまでも先延ばしにしてしまう
- 緊急度がわからない
- 進捗管理ができない
期限設定のポイント:
- 「いつか」ではなく「3ヶ月以内」「12月末まで」と明確に
- マイルストーン(中間目標)も設定すると進捗管理しやすい
- 期限が長すぎると緊張感がなくなるので、3ヶ月程度が適切
SMARTへの変換例
「何を(S)、どれくらい(M)、本当にできる?(A)、意味ある?(R)、いつまで?(T)」と自分に問いかけましょう。5つすべてに答えられれば、SMARTな課題定義ができています。
📋 6. 実践:課題発見から定義までの流れ
ここまで学んだ内容を使って、実際に課題を発見・定義する流れを見てみましょう。
【状況】
アパレルECサイトを運営。今期の売上目標は前年比120%だが、現状のペースでは110%にしか届かない見込み。
ステップ1:課題発見(3つのアプローチ)
ステップ2:MECEで分解
ステップ3:ロジックツリーで深掘り
ステップ4:SMARTで課題を定義
課題1:サイズ選びの改善
「3ヶ月以内に、AIサイズ推奨機能を導入し、サイズ理由の返品率を現在の15%から10%に削減する」
- S:AIサイズ推奨機能の導入
- M:返品率15%→10%
- A:競合も導入済みで技術的に可能
- R:返品減少→コスト削減→利益増
- T:3ヶ月以内
課題2:商品ページの改善
「2ヶ月以内に、全商品に着用動画を追加し、商品ページの直帰率を60%から45%に改善する」
- S:着用動画の追加
- M:直帰率60%→45%
- A:社内で撮影可能
- R:直帰率改善→購入率向上→売上増
- T:2ヶ月以内
ステップ5:優先順位をつける
| 課題 | インパクト | 実行難易度 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 着用動画の追加 | 中 | 簡単 | 1位:すぐ実行 |
| AIサイズ推奨機能 | 大 | 難しい | 2位:計画的に準備 |
- 3つのアプローチを組み合わせて課題を発見
- MECEで分解して問題箇所を特定
- ロジックツリーで根本原因を深掘り
- SMARTで具体的に定義
- 優先順位をつけて実行可能な計画に
📝 STEP 4 のまとめ
1. 正しい課題を見つける重要性
- 「技術力」より「課題設定力」がデータアナリストの価値を決める
- 「問題」と「課題」を区別する(課題 = ギャップを埋めるために何をすべきか)
2. 課題発見の3つのアプローチ
- トップダウン型:経営目標から逆算
- ボトムアップ型:現場の声から発見
- 外部情報型:市場・競合から発見
3. MECE – 漏れなく、ダブりなく
- 要素を整理する際の基本原則
- 切り口:時間軸、プロセス、対象、地域、要素分解など
4. ロジックツリー – 課題を構造化
- Whatツリー:要素を分解する
- Whyツリー:原因を深掘りする
- Howツリー:解決策を洗い出す
5. SMART基準 – 課題を明確に定義
- Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限)
データ分析で最も重要なのは、「正しい問いを立てること」です。
どんなに高度な分析手法を使っても、解くべき課題が間違っていれば意味がありません。
今回学んだMECE、ロジックツリー、SMARTは、「正しい問いを立てる」ための強力な武器です。ぜひ実践で活用してください。
次のSTEP 5では、「データ収集の基本」を学びます。どんなデータがビジネスに存在するか、どうやって集めるか、データの質をどう確保するかを習得しましょう!
📝 理解度チェック
学んだ内容を確認しましょう。解答を見る前に、まず自分で考えてみてください。
MECEとは何の略ですか?また、日本語でどういう意味ですか?
MECE = Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive
日本語では「漏れなく、ダブりなく」という意味です。
- Mutually Exclusive(相互排他的):要素同士が重ならない(ダブりなし)
- Collectively Exhaustive(全体網羅的):全体として漏れがない
覚え方のコツ:「ミーシー」と読みます。「見ーしー(全部見て、重複しないようにする)」と覚えると忘れにくいです。
ロジックツリーの3つの種類を答え、それぞれ何を明らかにするためのものか説明してください。
- Whatツリー(要素分解):「何で構成されているか」を分解する。全体像を把握したい時に使う。
- Whyツリー(原因追究):「なぜそうなるのか」原因を探る。問題の根本原因を特定したい時に使う。
- Howツリー(解決策検討):「どうやって解決するか」を考える。解決策を網羅的に洗い出したい時に使う。
覚え方のコツ:「What(何?)→ Why(なぜ?)→ How(どうする?)」の順番で覚えましょう。問題解決の流れ(現状把握→原因分析→解決策立案)と対応しています。
「売上 = 客数 × 客単価」という公式を使って、「売上が下がった」原因をMECEに分解してください。
第1階層:
- 客数が減った
- 客単価が下がった
第2階層(客数をさらに分解):
- 新規顧客が減った
- 既存顧客(リピーター)が減った
第2階層(客単価をさらに分解):
- 購入点数が減った
- 商品単価が下がった
ポイント:この分解はMECEになっています。売上減少の原因は、必ずこれらのどれか(または複数)に該当します。漏れもダブりもありません。
「顧客満足度を上げたい」という課題を、SMARTの5つの基準を満たす形に変換してください。
Before(SMARTでない):
「顧客満足度を上げたい」
After(SMARTに変換):
「6ヶ月以内に、ECサイトのNPSスコアを現在の30から50に向上させる」
- S(Specific・具体的):ECサイトのNPSスコアを上げる
- M(Measurable・測定可能):30→50という数値目標
- A(Achievable・達成可能):業界平均が45なので、50は現実的に達成可能
- R(Relevant・関連性):満足度向上→リピート率向上→売上増という関連性
- T(Time-bound・期限):6ヶ月以内
別解:「3ヶ月以内に、カスタマーサポートの満足度調査で『満足』『非常に満足』の割合を現在の60%から80%に向上させる」など、他の指標や期限でもOKです。5つの基準を満たしていれば正解です。
あなたが飲食店の店長だとします。「最近、来店客数が減っている」という問題に対して、(1) MECEで原因を分解し、(2) Whyツリーで深掘りし、(3) SMARTな課題定義を作成してください。
(1) MECEで原因を分解
来店客数 = 新規客 + リピート客
- 新規客が減っている?
- 通りがかり客が減っている?
- 口コミ経由が減っている?
- 広告経由が減っている?
- リピート客が減っている?
- 来店頻度が下がっている?
- 完全に来なくなった?
(2) Whyツリーで深掘り
来店客数が減った
├─ なぜ?→ リピート客が減った
│ ├─ なぜ?→ 来店頻度が下がった
│ │ └─ なぜ?→ 近くに競合店がオープンした ← 根本原因①
│ └─ なぜ?→ 常連客が来なくなった
│ └─ なぜ?→ メニューがマンネリ化している ← 根本原因②
└─ なぜ?→ 新規客が減った
└─ なぜ?→ 口コミが減った
└─ なぜ?→ SNSに投稿したくなるような特徴がない ← 根本原因③
(3) SMARTな課題定義
課題1(根本原因②に対応):
「2ヶ月以内に、季節限定メニューを5品追加し、常連客の月間来店回数を平均2回から3回に増やす」
- S:季節限定メニュー5品追加
- M:来店回数2回→3回
- A:メニュー開発は自店で可能
- R:来店増→売上増
- T:2ヶ月以内
課題2(根本原因③に対応):
「1ヶ月以内に、SNS映えするフォトスポットと限定デザートを導入し、月間のSNS投稿数(店名タグ付き)を10件から50件に増やす」
❓ よくある質問
完璧を目指さなくて大丈夫です。「だいたいMECE」で十分。
現実のビジネスでは、完全にMECEにするのが難しいことも多いです。以下の対策を試してみてください:
- 既存のフレームワークを使う:売上=客数×客単価、4P(Product, Price, Place, Promotion)など、確立された切り口を活用
- 「その他」を使う:どうしても分類できないものは「その他」としてまとめる。ただし、その他が大きくなりすぎないよう注意
- 他の人にチェックしてもらう:自分では気づかない漏れやダブりを指摘してもらえる
最初から完璧を目指すより、まず作ってみて、後から修正するアプローチがおすすめです。
最初は時間がかかって当然です。慣れれば速くなります。
効率化のコツ:
- 時間を区切る:「30分で作る」と決めて、完璧を目指さない
- 既存のフレームワークを活用:売上分解、顧客購買プロセス(認知→興味→購入)など、定番の切り口を使う
- テンプレートを用意:よく使うロジックツリーをテンプレート化して再利用
- ツールを使う:XMind、Miro、PowerPointなど、ツリー図を作りやすいツールを活用
最初は1時間かかっても、慣れれば15分程度で作れるようになります。
過去の実績と、利用可能なリソースを基準に判断しましょう。
判断の目安:
- 過去の実績:「去年は10%成長した」→「今年は15%成長」は現実的、「今年は100%成長」は非現実的
- 業界平均:業界トップが達成している数字なら、不可能ではない
- リソース:予算、人員、時間が十分にあるか確認
- チームの合意:「頑張れば達成できる」とチームが思えるレベル
迷ったら、少し高めの「ストレッチ目標」を設定するのがおすすめ。簡単すぎるとモチベーションが上がりません。
状況によりますが、まずはトップダウンがおすすめです。
優先順位の目安:
- トップダウン型を最初に:経営目標と紐づく課題は、会社にとって最も重要。まずはここから確認
- ボトムアップ型を次に:現場の声から、見落としている課題を発見
- 外部情報型を補完的に:競合や市場の動きから、機会と脅威を把握
理想は3つを組み合わせることですが、時間が限られている場合は、トップダウン→ボトムアップの順で進めましょう。
「問題」は状態、「課題」は行動です。
わかりやすく整理すると:
- 問題(Problem):現状とあるべき姿のギャップ。「困っていること」「解決すべき状態」
- 例:「売上が目標に届いていない」「顧客満足度が低い」
- 課題(Issue):問題を解決するために「何をすべきか」。具体的な取り組み
- 例:「新規顧客を20%増やす」「サポート体制を強化する」
言い換えると:
- 問題 = What’s wrong?(何が問題なの?)
- 課題 = What to do?(何をすべきなの?)
問題を特定してから、それを解決するための課題を設定する、という流れです。
「データ」と「ビジネスインパクト」で説得しましょう。
採用されやすい提案のポイント:
- データで裏付け:「なんとなく」ではなく、「データがこう言っている」と示す
- ビジネスインパクトを数値化:「これを解決すると、月間100万円の利益増が見込める」
- 経営目標との関連を示す:「今期の売上目標達成に直接貢献します」
- リスクと対策も提示:「失敗した場合のリスクは〇〇だが、△△で対応できる」
- 小さく始める提案:「まず1ヶ月のパイロットで効果を検証しましょう」
「自分がやりたいこと」ではなく「会社にとって重要なこと」という視点で伝えることが大切です。
学習メモ
ビジネスデータ分析・意思決定 - Step 4