📐 ステップ4:微分の基礎
変化率を理解しよう!データ分析の核心へ
📚 このステップで学ぶこと
- 微分とは何か?(変化率の考え方)
- 微分の基本公式
- 接線の傾きと微分
- 極値問題の解き方
- データ分析・ビジネスへの応用
🎯 到達目標: 基本的な関数を微分でき、極値を求められる
1. 微分とは何か?
🎯 微分を一言で言うと
微分とは、「ある瞬間における変化の速さ」を計算する方法です。
車を運転しているとき、スピードメーターは「今この瞬間の速度」を表示します。
• 位置(どこにいるか)→ 時間で微分 → 速度(どのくらいの速さで動いているか)
これが微分の本質です!
📊 グラフで微分を理解する
$y = x^2$ のグラフを例に考えましょう。
グラフ上の各点での「傾き」
• $x = 1$ のとき → グラフは緩やかに上昇(傾きが小さい)
• $x = 2$ のとき → グラフはそこそこ急に上昇(傾きが中くらい)
• $x = 3$ のとき → グラフは急に上昇(傾きが大きい)
この「各点での傾き」を求める方法が微分です。
• $x = 1$ のとき傾き = $2 \times 1 = 2$
• $x = 2$ のとき傾き = $2 \times 2 = 4$
• $x = 3$ のとき傾き = $2 \times 3 = 6$
確かに、xが大きくなるほど傾きも大きくなっています!
🔢 微分の記号
$y = f(x)$ の微分を表す記号はいくつかあります。すべて同じ意味です。
| 記号 | 読み方 | 説明 |
| $y’$ | ワイダッシュ | 最もシンプルな表記 |
| $f'(x)$ | エフダッシュエックス | 関数名を明示したいとき |
| $\dfrac{dy}{dx}$ | ディーワイディーエックス | 「yをxで微分」の意味 |
この講座では主に $y’$ を使います。
💼 データ分析での微分
- 売上分析: 価格を少し変えたとき、売上がどれだけ変化するか
- 成長率: 時間に対するユーザー数の増加速度
- 機械学習: 誤差を最小化するパラメータを見つける(勾配降下法)
2. 微分の基本公式
📐 べき乗の微分(最重要!)
覚え方(2ステップ)
ステップ1: 指数(肩の数字)を前に出す
ステップ2: 指数を1減らす
例1: $y = x^2$ の微分
→ 指数2を前に出す → $2$
→ 指数を1減らす → $x^{2-1} = x^1 = x$
→ $y’ = 2x$
例2: $y = x^3$ の微分
→ 指数3を前に出す → $3$
→ 指数を1減らす → $x^{3-1} = x^2$
→ $y’ = 3x^2$
例3: $y = x^5$ の微分
→ 指数5を前に出す → $5$
→ 指数を1減らす → $x^{5-1} = x^4$
→ $y’ = 5x^4$
📏 特別なケース①:$y = x$ の微分
$y = x$ は $y = x^1$ と同じです。
計算してみよう
$y = x^1$
→ 指数1を前に出す → $1$
→ 指数を1減らす → $x^{1-1} = x^0 = 1$
→ $y’ = 1 \times 1 = 1$
📏 特別なケース②:定数の微分
なぜ0になるの?
定数は「変化しない」ので、「変化の速さ」は0です。
• $y = 5$ → $y’ = 0$
• $y = 100$ → $y’ = 0$
• $y = -3$ → $y’ = 0$
• $y = \pi$ → $y’ = 0$(πも定数です)
🔢 定数倍の微分
ルール: 前についている定数はそのまま残す
例:$y = 3x^2$ の微分
ステップ1: まず $x^2$ の部分を微分 → $2x$
ステップ2: 前の定数3を掛ける → $3 \times 2x$
結果: $y’ = 6x$
• $y = 5x^3$ → $y’ = 5 \times 3x^2 = 15x^2$
• $y = -2x^4$ → $y’ = -2 \times 4x^3 = -8x^3$
• $y = 7x$ → $y’ = 7 \times 1 = 7$
➕ 和と差の微分
ルール: 項ごとに別々に微分して、あとで足し算・引き算する
例:$y = x^3 + x^2$ の微分
ステップ1: $x^3$ を微分 → $3x^2$
ステップ2: $x^2$ を微分 → $2x$
ステップ3: 足し合わせる → $3x^2 + 2x$
結果: $y’ = 3x^2 + 2x$
例:$y = 2x^2 – 5x + 3$ の微分
ステップ1: $2x^2$ を微分 → $2 \times 2x = 4x$
ステップ2: $-5x$ を微分 → $-5 \times 1 = -5$
ステップ3: $3$(定数)を微分 → $0$
ステップ4: 合わせる → $4x – 5 + 0$
結果: $y’ = 4x – 5$
📋 微分公式の一覧表
| 元の関数 | 微分後 | 覚え方 |
| $y = x$ | $y’ = 1$ | $x$ の傾きは常に1 |
| $y = x^2$ | $y’ = 2x$ | 2を前に、指数を1減らす |
| $y = x^3$ | $y’ = 3x^2$ | 3を前に、指数を1減らす |
| $y = x^n$ | $y’ = nx^{n-1}$ | nを前に、指数を1減らす |
| $y = c$(定数) | $y’ = 0$ | 定数は変化しない |
| $y = ax^n$ | $y’ = anx^{n-1}$ | 定数 $a$ はそのまま残す |
⚠️ つまずきやすいポイント
よくある間違い①: 定数を微分し忘れて残してしまう
→ 定数項は微分すると消えます(0になります)
よくある間違い②: 係数と指数を掛け忘れる
→ $5x^3$ の微分は $5 \times 3 = 15$ を忘れずに! → $15x^2$
よくある間違い③: マイナスの符号を忘れる
→ $-2x^3$ の微分は $-2 \times 3 = -6$ → $-6x^2$
3. 接線の傾きと微分
📐 接線とは?
接線とは、曲線のある点で「ちょうど触れる」直線のことです。
坂道を自転車で下っているとき、「今この瞬間の坂の角度」が接線の傾きです。
カーブの途中でも、その瞬間だけを切り取ると直線に見えますよね。
📊 傾きの符号と意味
| 微分の値 | 接線の状態 | 関数の状態 |
| $y’ > 0$(正) | 右上がり ↗ | 増加中 |
| $y’ < 0$(負) | 右下がり ↘ | 減少中 |
| $y’ = 0$ | 水平 → | 極値(山か谷)の可能性 |
📊 接線の方程式の求め方
点 $(a, f(a))$ における接線の方程式:
求め方の手順
ステップ1: 関数を微分して $f'(x)$ を求める
ステップ2: $x = a$ を代入して傾き $f'(a)$ を計算
ステップ3: 元の関数に $x = a$ を代入して $f(a)$ を計算
ステップ4: 公式に代入して整理
4. 極値問題(最大値・最小値)
🎯 極値とは?
極値とは、グラフの「山の頂上」や「谷の底」のことです。
• 極大値: 山の頂上(その周辺で最も大きい値)
• 極小値: 谷の底(その周辺で最も小さい値)
山の頂上や谷の底では、坂がなくなって水平になります。
水平 = 傾きが0 = 微分が0
📐 極値の求め方
手順
ステップ1: 関数を微分する
ステップ2: $y’ = 0$ となる $x$ を求める(方程式を解く)
ステップ3: その $x$ を元の関数に代入して $y$ を求める
ステップ4: 最大値か最小値かを判定する
$y = ax^2 + bx + c$ の形のとき:
• $a > 0$($x^2$ の係数が正)
→ グラフは下に凸(∪の形)
→ $y’ = 0$ の点は最小値
• $a < 0$($x^2$ の係数が負)
→ グラフは上に凸(∩の形)
→ $y’ = 0$ の点は最大値
💼 ビジネスでの活用例
- 利益の最大化: どの価格設定で利益が最大になるか?
- コストの最小化: どの生産量でコストが最小になるか?
- 在庫の最適化: 在庫コストと欠品コストのバランスを取る最適量
- 広告費の最適配分: 投資対効果が最大になる広告費の額
5. データ分析への応用
📊 機械学習と微分
機械学習の多くのアルゴリズムは、微分を使って「最適な答え」を見つけます。
目標: 誤差(予測と実際の差)を最小化したい
方法:
① 誤差関数を微分して「傾き」を調べる
② 傾きの逆方向に少しずつ移動(山を下りるイメージ)
③ 傾きが0になる点(谷底)を目指す
④ 谷底 = 誤差が最小 = 最適なパラメータ
6. 練習問題(20問)
実際に問題を解いて理解を深めましょう。
基本の微分
$y = x^2$ を微分しなさい。
【ステップ1】公式を確認
$y = x^n$ → $y’ = nx^{n-1}$
【ステップ2】指数を確認
$y = x^2$ なので $n = 2$
【ステップ3】公式に当てはめる
$y’ = 2x^{2-1} = 2x^1 = 2x$
【ポイント】
「指数を前に出して、指数を1減らす」これだけ!
基本の微分
$y = x^3$ を微分しなさい。
【計算】
$n = 3$ なので
$y’ = 3x^{3-1} = 3x^2$
【ポイント】
どんな指数でも同じルールです。
基本の微分
$y = x^5$ を微分しなさい。
【計算】
$n = 5$ なので
$y’ = 5x^{5-1} = 5x^4$
$x$ の微分
$y = x$ を微分しなさい。
【考え方】
$x = x^1$ と書き直します
【計算】
$y’ = 1 \cdot x^{1-1} = 1 \cdot x^0$
$x^0 = 1$ なので
$y’ = 1 \times 1 = 1$
【ポイント】
$y = x$ のグラフは傾き1の直線です。だから微分も1!
定数の微分
$y = 7$ を微分しなさい。
【理由】
定数は変化しないので、変化率(微分)は0です。
【グラフで考えると】
$y = 7$ のグラフは水平な直線です。
水平線の傾きは0ですね。
定数倍の微分
$y = 3x^2$ を微分しなさい。
【ステップ1】$x^2$ を微分
$(x^2)’ = 2x$
【ステップ2】前の定数を掛ける
$y’ = 3 \times 2x = 6x$
【ポイント】
前についている定数はそのまま残して、最後に掛け算します。
定数倍の微分
$y = 5x^4$ を微分しなさい。
【計算】
$(x^4)’ = 4x^3$
$y’ = 5 \times 4x^3 = 20x^3$
【ポイント】
$5 \times 4 = 20$ を忘れずに!
マイナスの係数
$y = -2x^3$ を微分しなさい。
【計算】
$(x^3)’ = 3x^2$
$y’ = -2 \times 3x^2 = -6x^2$
【ポイント】
マイナスの符号も一緒に残します。
和の微分
$y = x^2 + x$ を微分しなさい。
【ステップ1】項ごとに微分
$(x^2)’ = 2x$
$(x)’ = 1$
【ステップ2】足し合わせる
$y’ = 2x + 1$
【ポイント】
足し算・引き算は、それぞれ別々に微分してから合わせます。
多項式の微分
$y = x^3 – 2x^2 + 5$ を微分しなさい。
【ステップ1】項ごとに微分
$(x^3)’ = 3x^2$
$(-2x^2)’ = -2 \times 2x = -4x$
$(5)’ = 0$(定数)
【ステップ2】合わせる
$y’ = 3x^2 – 4x + 0 = 3x^2 – 4x$
【ポイント】
定数項は微分すると消えます(0になります)。
多項式の微分
$y = 2x^3 + 4x^2 – 6x + 1$ を微分しなさい。
【項ごとに微分】
$(2x^3)’ = 2 \times 3x^2 = 6x^2$
$(4x^2)’ = 4 \times 2x = 8x$
$(-6x)’ = -6 \times 1 = -6$
$(1)’ = 0$
【合わせる】
$y’ = 6x^2 + 8x – 6$
【ポイント】
複雑に見えても、1項ずつ丁寧に微分すれば大丈夫です。
接線の傾き
$y = x^2 + 3x – 4$ のグラフ上の点 $x = 2$ における接線の傾きを求めなさい。
【ステップ1】微分する
$y’ = 2x + 3$
【ステップ2】$x = 2$ を代入
$y’ = 2 \times 2 + 3 = 4 + 3 = 7$
【ポイント】
「接線の傾き」=「その点での微分の値」です。
微分して、$x$ の値を代入するだけ!
極値(最小値)
$y = x^2 – 6x + 5$ の最小値を求めなさい。
【ステップ1】微分する
$y’ = 2x – 6$
【ステップ2】$y’ = 0$ となる $x$ を求める
$2x – 6 = 0$
$2x = 6$
$x = 3$
【ステップ3】$x = 3$ を元の式に代入
$y = 3^2 – 6 \times 3 + 5$
$y = 9 – 18 + 5$
$y = -4$
【ステップ4】最大か最小かを判定
$x^2$ の係数が $+1$(正)なので、グラフは下に凸(∪型)
→ $y’ = 0$ の点は最小値
【ポイント】
①微分 → ②$y’ = 0$を解く → ③元の式に代入 の3ステップ!
定数倍の微分
$y = 4x^3$ を微分しなさい。
【計算】
$(x^3)’ = 3x^2$
$y’ = 4 \times 3x^2 = 12x^2$
【ポイント】
$4 \times 3 = 12$ を忘れずに計算します。
多項式の微分
$y = x^4 + 2x^3 – 5x$ を微分しなさい。
【項ごとに微分】
$(x^4)’ = 4x^3$
$(2x^3)’ = 2 \times 3x^2 = 6x^2$
$(-5x)’ = -5 \times 1 = -5$
【合わせる】
$y’ = 4x^3 + 6x^2 – 5$
【ポイント】
$x$ は $x^1$ なので、微分すると 1 になります。
展開してから微分
$y = (x + 2)(x – 3)$ を微分しなさい。
【ステップ1】まず展開する
$y = (x + 2)(x – 3)$
$y = x^2 – 3x + 2x – 6$
$y = x^2 – x – 6$
【ステップ2】微分する
$(x^2)’ = 2x$
$(-x)’ = -1$
$(-6)’ = 0$
$y’ = 2x – 1$
【ポイント】
カッコがある場合は、まず展開してから微分します。
微分の値から $x$ を求める
$y = 3x^2 + 4x – 8$ において、$y’ = 10$ となる $x$ を求めなさい。
【ステップ1】微分する
$y’ = 6x + 4$
【ステップ2】$y’ = 10$ を代入して方程式を解く
$6x + 4 = 10$
$6x = 10 – 4$
$6x = 6$
$x = 1$
【ポイント】
微分した式に条件を代入して、普通の方程式として解きます。
傾きが0になる点
$y = -2x^2 + 8x$ において、接線の傾きが0になる $x$ を求めなさい。
【ステップ1】接線の傾き = 微分
$y’ = -4x + 8$
【ステップ2】傾きが0、つまり $y’ = 0$
$-4x + 8 = 0$
$-4x = -8$
$x = 2$
【ポイント】
接線の傾きが0 = グラフの頂点(極値)です。
$x^2$ の係数が負なので、この点は最大値になります。
ビジネス応用:利益の最大化
ある商品の利益関数が $P = -x^2 + 100x – 1200$($x$ は価格)で表されます。
利益が最大になる価格 $x$ を求めなさい。
【ステップ1】微分する
$P’ = -2x + 100$
【ステップ2】$P’ = 0$ となる $x$ を求める
$-2x + 100 = 0$
$-2x = -100$
$x = 50$
【ステップ3】最大値であることを確認
$x^2$ の係数が $-1$(負)なので、グラフは上に凸(∩型)
→ $P’ = 0$ の点は最大値
【ビジネスへの応用】
このように微分を使うと、利益を最大化する最適な価格設定ができます。
物理応用:速度と位置
ある物体の位置が時刻 $t$ で $x = t^3 – 6t^2 + 9t$ と表されます。
この物体の速度 $v$(= $\dfrac{dx}{dt}$)を求め、速度が0になる時刻を求めなさい。
速度: $v = 3t^2 – 12t + 9$
速度が0になる時刻: $t = 1$ と $t = 3$
【ステップ1】位置を時間で微分して速度を求める
$v = \dfrac{dx}{dt} = 3t^2 – 12t + 9$
【ステップ2】$v = 0$ となる $t$ を求める
$3t^2 – 12t + 9 = 0$
両辺を3で割る:
$t^2 – 4t + 3 = 0$
因数分解:
$(t – 1)(t – 3) = 0$
$t = 1$ または $t = 3$
【ポイント】
• 位置を微分 → 速度
• 速度を微分 → 加速度
• 速度が0 = 物体が一瞬止まる瞬間
【物理への応用】
微分は運動を分析するための基本ツールです。
速度、加速度など、あらゆる「変化」を数値化できます。
📚 このステップのまとめ
1. 微分の意味
微分 = 変化率 = 接線の傾き
2. 基本公式
$y = x^n$ → $y’ = nx^{n-1}$
(指数を前に出して、指数を1減らす)
3. 極値の条件
$y’ = 0$ となる点が極値(最大値または最小値)
4. 応用
• データ分析:変化率の計算
• ビジネス:利益最大化、コスト最小化
• 機械学習:勾配降下法
例題を復習して、基本的な微分がスラスラできるようになったらステップ5に進みましょう!
次は「積分」を学びます。積分は微分の逆操作で、「面積」や「累積」を計算する道具です。
学習メモ
数学基礎 - Step 4