Step 55:データ可視化の応用テクニック

🎨 Step 55: データ可視化の応用テクニック

プロフェッショナルなダッシュボードを作成しよう!

📋 このステップで学ぶこと

  • スパークライン(ミニグラフ)の活用
  • ウォーターフォールチャートの作成
  • ヒートマップによるデータ表現
  • KPIカードのデザイン
  • 色使いの心理学と実践
  • ダイナミックグラフの作成
  • ミニダッシュボードの構築

📝 1. データ可視化の重要性

優れた可視化は、複雑なデータを一目で理解できるようにします。

🔍
探索(Explore)
データの中から傾向やパターンを発見する
→ 自分がデータを理解するため
💬
説明(Explain)
発見した洞察を他者に伝える
→ 相手に理解してもらうため
🎯
説得(Persuade)
データに基づいた意思決定を促す
→ 行動を起こしてもらうため
🔑 優れた可視化の5原則

1. 明確性(Clarity)
→ 何を伝えたいかが一目でわかる

2. 正確性(Accuracy)
→ データを歪めない、誤解を招かない

3. 効率性(Efficiency)
→ 必要な情報に素早くアクセスできる

4. 美しさ(Aesthetics)
→ 見た目が美しく、見やすい

5. アクション誘導(Action)
→ 次に何をすべきかが明確

📈 2. スパークライン(ミニグラフ)

スパークラインは、セル内に表示する小さなグラフで、傾向を素早く把握できます。

📊 スパークラインとは?

特徴:
・セル1つに収まる小型グラフ
・軸ラベルなし(傾向重視)
・大量のデータを一覧表示に最適

種類:
1. 折れ線スパークライン(推移)
2. 縦棒スパークライン(比較)
3. 勝敗スパークライン(プラス/マイナス)

Excelでの作成方法

📝 折れ線スパークラインの作成手順(Excel 2010以降)
  1. スパークラインを表示するセルを選択(例:M2)
  2. [挿入] → [スパークライン] → [折れ線]
  3. データ範囲を指定(例:B2:L2)
  4. [OK]をクリック

📝 カスタマイズ方法(※横スクロールできます)

【スパークラインのカスタマイズ】 ■ [デザイン]タブで設定可能: ・色の変更 ・マーカーの追加(最高点、最低点、最終点) ・縦軸の最小値・最大値の調整 ■ 実例:月別売上推移 A列:商品名 B~L列:1月~11月の売上 M列:スパークライン(傾向が一目瞭然)

Googleスプレッドシートでの作成

★Googleスプレッドシート専用:SPARKLINE関数
=SPARKLINE(B2:L2, {“charttype”,”line”; “linewidth”,2; “color”,”#667eea”})
パラメータ:
・charttype:line, bar, column, winloss
・linewidth:線の太さ(1-10)
・color:線の色(16進数)
・max/min:Y軸の最大値・最小値
★Googleスプレッドシート専用:勝敗スパークライン
=SPARKLINE(B2:L2, {“charttype”,”winloss”; “color”,”green”; “negcolor”,”red”})
プラスは緑、マイナスは赤で表示
📊 スパークラインの活用例
商品名 売上推移イメージ 前月比 傾向
商品A
▲ +15% 上昇傾向
商品B
▼ -8% 下降傾向
商品C
→ 2% 安定

📊 3. ウォーターフォールチャート

ウォーターフォールチャートは、数値の増減を視覚的に表現するグラフです。

💡 ウォーターフォールチャートの用途

・売上から利益までの内訳
・予算から実績への変動要因
・期首から期末への資金の流れ

構造:開始値 → 増加要因 → 減少要因 → 最終値

📝 利益分析の例(※横スクロールできます)

【ウォーターフォールチャートの例:利益分析】 売上 10,000,000 ← 開始値 – 原価 -6,000,000 ← 減少 = 粗利 4,000,000 ← 小計 – 人件費 -2,000,000 ← 減少 – 広告費 -500,000 ← 減少 – 家賃 -300,000 ← 減少 = 営業利益 1,200,000 ← 最終値

Excelでの作成方法(Excel 2016以降)

📝 ウォーターフォール図の作成手順
  1. データを用意(A列:項目名、B列:金額)
  2. データを選択
  3. [挿入] → [ウォーターフォール図]
  4. 小計・合計のバーを右クリック → [合計として設定]
⚠️ Excel 2013以前の場合

組み込み機能がないため、積み上げ縦棒グラフで手動作成が必要:
1. 補助列を作成(浮動値の計算)
2. 積み上げ縦棒グラフを挿入
3. 浮動部分を透明に設定
4. 色分け(増加=緑、減少=赤)

Googleスプレッドシートでの作成

📝 滝グラフの作成(※横スクロールできます)

【Googleスプレッドシートでの滝グラフ作成】 ■ 手順 1. データを準備 2. [挿入] → [グラフ] 3. グラフの種類で[滝グラフ]を選択 ■ データ形式(3列必要) A列:ラベル B列:値 C列:タイプ(増加/減少/小計) 例: ラベル 値 タイプ 売上 10,000,000 開始 原価 -6,000,000 減少 粗利 4,000,000 小計 人件費 -2,000,000 減少 広告費 -500,000 減少 家賃 -300,000 減少 営業利益 1,200,000 合計
🎨 カスタマイズのコツ

色分け:
・開始値:グレー
・増加:緑系
・減少:赤系
・小計/合計:青系

データラベル:各バーに金額を表示

タイトル:「2025年1月 損益分析」など具体的に

🌡️ 4. ヒートマップの作成

ヒートマップは、データを色の濃淡で表現し、パターンを発見しやすくします。

📊 ヒートマップの活用例

・時間帯別・曜日別の売上
・商品別・月別の販売数
・地域別・年齢層別の購入率
・社員別・プロジェクト別の稼働時間

条件付き書式での作成

📝 カラースケールの設定手順
  1. データ範囲を選択
  2. [ホーム] → [条件付き書式] → [カラースケール]
  3. [3色スケール]を選択
  4. 最小値(赤)、中間値(黄)、最大値(緑)を設定

📝 Googleスプレッドシートでの作成(※横スクロールできます)

【Googleスプレッドシートでのヒートマップ作成】 ■ 方法1:カラースケール 1. 範囲を選択 2. [表示形式] → [条件付き書式] 3. [カラースケール]タブを選択 4. 最小値~最大値の色を設定 ■ 方法2:カスタムルール 複数の条件で色分け: ・0~100:赤 ・101~200:黄 ・201~:緑 ■ 高度な技:グラデーション 単一色のグラデーション(白→濃い青) ・最小値:#FFFFFF(白) ・最大値:#0000FF(青)
🌡️ ヒートマップの例:曜日別・時間帯別売上
時間帯
9時 100 120 110 130 140 200 180
12時 300 280 290 310 320 450 400
15時 150 140 160 155 170 250 230
18時 400 380 390 410 420 500 480

濃い緑 = 高売上 | 黄~オレンジ = 中程度 | 赤系 = 低売上

🎯 5. KPIカードの作成

KPIカードは、重要指標を大きく表示して注目を集めます。

📋 KPIカードの要素

必須要素:
1. 大きな数字(KPIの値)
2. KPIの名前
3. 前期比・前月比
4. 矢印(▲▼)
5. 色(良い=緑、悪い=赤)

オプション要素:
・目標値、達成率
・ミニグラフ(トレンド)
・期間(○月のデータなど)
🎯 KPIカードの例
今月の売上
¥15.2M
▲ +12.5%
目標達成率:108%
新規顧客数
325
▲ +8.3%
目標:300人
広告費
¥2.8M
▼ -15.2%
予算内:92%

Excelでの作成手順

📝 KPIカード作成の手順(※横スクロールできます)

【ExcelでKPIカードを作成する手順】 ■ ステップ1:セルの結合 1. 4×3セルくらいを結合 2. 大きなスペースを確保 ■ ステップ2:メインKPI 数式:=TEXT(SUM(売上!B:B),”#,##0″) フォントサイズ:36pt以上 太字、中央揃え ■ ステップ3:ラベル 「今月の売上」 フォントサイズ:14pt 上部に配置 ■ ステップ4:前月比 数式:=(今月-前月)/前月 表示形式: =IF(前月比>0,”▲ +”,”▼ “)&TEXT(ABS(前月比),”0.0%”) 条件付き書式: ・プラス:緑の背景 ・マイナス:赤の背景 ■ ステップ5:枠線 太い枠線で囲む

Googleスプレッドシートでの高度な表現

★Googleスプレッドシート専用:SPARKLINEとの組み合わせ
=SPARKLINE(B2:M2,{“charttype”,”line”;”color”,”#667eea”})
KPIカードの下部にトレンドを一緒に表示

🎨 6. 色使いの心理学

色は見る人の印象と行動に大きな影響を与えます。

赤(Red)
注意、危険、重要、緊急
用途:エラー、警告、目標未達
黄(Yellow)
警告、注意喚起、慎重
用途:注意事項、中程度の問題
緑(Green)
良好、安全、成功、成長
用途:目標達成、プラス成長
青(Blue)
信頼、安定、冷静、専門性
用途:通常データ、信頼性
グレー(Gray)
中立、参考、非アクティブ
用途:補助情報、過去データ
オレンジ(Orange)
注目、活気、親しみ
用途:強調したいポイント

ダッシュボードの配色パターン

📝 配色パターンの選び方(※横スクロールできます)

【ダッシュボードの配色パターン】 ■ パターン1:信号機方式 ・緑:良好(目標達成) ・黄:注意(目標の80-100%) ・赤:危険(目標の80%未満) ■ パターン2:単色グラデーション ベースカラー1色を濃淡で表現 例:青の濃淡(#E3F2FD → #0D47A1) ■ パターン3:2色対比 ・メインカラー:青系(データ) ・アクセントカラー:オレンジ(強調) ■ パターン4:カテゴリ別 ・売上:青 ・コスト:赤 ・利益:緑
🎨 配色の3原則

1. 色数を制限(3-4色)
× カラフルすぎる
○ 統一感のある配色

2. コントラストを確保
× 薄い色同士
○ 明度差を大きく

3. 文化を考慮
西洋:赤=危険、緑=安全
東洋:赤=祝い、白=喪
→ ビジネスでは国際的な色使いを推奨
💡 アクセシビリティへの配慮

色覚多様性:色だけに頼らない(形、パターン、数字も併用)
コントラスト:背景と文字の明度差を十分に
フォントサイズ:小さすぎない(最低11pt)
シミュレーション:色覚シミュレータでチェック

🔄 7. ダイナミックグラフ(スライサー連動)

ダイナミックグラフは、ユーザーが条件を選択するとグラフが自動更新される、インタラクティブな分析ツールです。

🔄 実現方法

1. ピボットテーブル + スライサー
2. テーブル + スライサー
3. FILTER関数 + グラフ(★Excel 365 / Excel 2021以降)

方法1:ピボットテーブル + スライサー

📝 ピボットテーブル + スライサーの作成(Excel 2010以降)
  1. データからピボットテーブル作成
  2. ピボットグラフを挿入
  3. [分析]タブ → [スライサーの挿入]
  4. スライサーで絞り込み項目を選択(部門、商品、期間など)
  5. スライサーとグラフが連動!
✅ ピボットテーブル + スライサーのメリット

・簡単に作成できる
・複数のスライサーを組み合わせ可能
・見た目もプロフェッショナル

活用例:
「部門」「月」「商品」のスライサーを設置
→ ユーザーが自由に組み合わせて分析

方法2:FILTER関数 + グラフ

⚠️ 対応環境の確認

FILTER関数は★Excel 365 / Excel 2021以降およびGoogleスプレッドシートで使用可能です。
Excel 2019以前では、ピボットテーブル + スライサーを使用してください。

📝 FILTER関数でダイナミックグラフを作成(※横スクロールできます)

【FILTER関数 + グラフの作成】★Excel 365 / Excel 2021以降 / Googleスプレッドシート ■ 手順 1. セルに選択用のドロップダウン作成 A1セル:部門選択(営業部、EC事業部…) 2. FILTER関数でデータ抽出 =FILTER(売上データ!A:E, 売上データ!B:B=$A$1) 3. 抽出結果からグラフ作成 4. A1の値を変更すると、グラフが自動更新 ■ 高度な例:複数条件 =FILTER(売上データ!A:E, (売上データ!B:B=$A$1)* (売上データ!C:C>=$B$1)* (売上データ!C:C<=$C$1)) 条件:部門=A1、日付>=B1、日付<=C1

Googleスプレッドシートのスライサー

📝 Googleスプレッドシートでのスライサー追加
  1. データ範囲を選択
  2. [データ] → [スライサー]
  3. 絞り込む列を選択
  4. グラフと連動!

📊 8. ミニダッシュボードの実例

学んだテクニックを組み合わせて、実用的なダッシュボードを構築します。

📝 ダッシュボードの構成例(※横スクロールできます)

【ダッシュボードの構成例】 ┌─────────────────────────────────┐ │ 2025年3月 経営ダッシュボード │ ├───────────┬───────────┬───────────┤ │ 売上実績 │ 新規顧客 │ 利益率 │ ← KPIカード │ ¥15.2M │ 325人 │ 18.5% │ │ ▲ +12.5% │ ▲ +8.3% │ → 0.2% │ ├───────────┴───────────┴───────────┤ │ │ │ 月別売上推移 │ ← 折れ線グラフ │ (予算 vs 実績) │ │ │ ├──────────────┬────────────────┤ │ │ │ │ 商品別売上 │ 部門別達成率 │ ← 円グラフ & 棒グラフ │ (構成比) │ │ │ │ │ └──────────────┴────────────────┘
👁️ Z型レイアウト

人の視線の動き(Z型)を考慮:

1番目:左上 → 最重要KPI
2番目:右上 → 第2重要KPI
3番目:中央 → メイングラフ
4番目:左下 → 詳細分析
5番目:右下 → 補足情報
🎯 ダッシュボード設計のポイント

1. 目的を明確に
誰が、何のために見るのか?

2. KPIを絞る
重要な指標は3〜5個まで

3. 色を統一
3〜4色に制限し、意味のある色使い

4. 更新頻度を決める
リアルタイム?日次?月次?

5. アクションにつなげる
「見て終わり」ではなく、次の行動を促す

📝 実践課題

実践課題
総合

プロフェッショナルなダッシュボードを作成してください

📝 要件(※横スクロールできます)

要件: 1. KPIカードを3つ以上作成 – 大きな数字表示 – 前月比・目標達成率 – 矢印と色分け 2. スパークラインを5つ以上配置 3. ヒートマップを1つ作成 – 時間帯別、曜日別、または商品別 4. ウォーターフォールチャートを1つ作成 5. スライサーを使ったダイナミックグラフ (または、ピボットテーブル + スライサー) 6. 配色は3-4色に統一 7. Z型レイアウトで配置

作成手順:

【作成手順】 ステップ1:データ準備(30分) ・売上データ、顧客データを用意 ・必要な集計シートを作成 ステップ2:KPIカード作成(40分) ・セル結合でスペース確保 ・メインKPI(売上、顧客数、利益率) ・前月比の計算と条件付き書式 ・矢印の追加 ステップ3:スパークライン配置(30分) ・商品別、部門別の推移 ・SPARKLINEで5つ以上作成 ・色とスタイルの統一 ステップ4:ヒートマップ作成(30分) ・時間帯×曜日のデータ作成 ・カラースケールで色付け ・見やすい配色に調整 ステップ5:ウォーターフォール作成(30分) ・損益データの準備 ・ウォーターフォール図を挿入 ・色分けとラベル追加 ステップ6:ダイナミックグラフ(40分) ・ピボットテーブル作成 ・ピボットグラフ挿入 ・スライサー追加と配置 ステップ7:レイアウト調整(20分) ・Z型配置を意識 ・余白の調整 ・全体の見栄え確認

❓ よくある質問

Q1: ダッシュボードの更新頻度はどうすればいい?
データの性質で決めます:

リアルタイム:EC売上、在庫など
→ 数分〜数時間ごとに自動更新

日次:売上、顧客数など
→ 毎日朝9時に更新(自動化推奨)

週次:週次レポート
→ 毎週月曜に更新

月次:経営ダッシュボード
→ 月初に前月データを更新

自動更新の方法:
・Googleスプレッドシート:IMPORTRANGE、API連携
・Excel:Power Query、VBAマクロ
Q2: ダッシュボードが重くなってしまう
軽量化のコツ:

1. データの絞り込み
・直近3ヶ月分だけ表示
・古いデータは別シートに移動

2. 計算式の最適化
・VLOOKUP → INDEX+MATCH
・配列数式の多用を避ける

3. グラフの数を制限
・1画面に10個以下

4. 条件付き書式の見直し
・範囲を必要最小限に

5. ピボットキャッシュの削除
(Excelの場合)
Q3: スマホでも見やすいダッシュボードにしたい
モバイル対応のポイント:

Googleスプレッドシート推奨:
・スマホアプリで閲覧可能
・レスポンシブ対応

デザインの工夫:
・KPIカードを縦に並べる
・グラフは縦長
・フォントサイズを大きめに
・タップしやすいボタンサイズ

専用シート作成:
・PC用とモバイル用を別々に
・モバイル版はシンプルに
Q4: Excel 2019でウォーターフォールチャートは使える?
はい、使えます!

ウォーターフォールチャートはExcel 2016以降で組み込み機能として利用可能です。

Excel 2013以前の場合:
積み上げ縦棒グラフを使った手動作成が必要です。

Googleスプレッドシート:
「滝グラフ」として利用可能です。

📝 Step 55 のまとめ

✅ このステップで学んだこと

📈 スパークライン
セル内ミニグラフで傾向を素早く把握
📊 ウォーターフォール
増減の内訳を視覚的に表現
🌡️ ヒートマップ
色の濃淡でパターンを発見
🎯 KPIカード
重要指標を大きく目立たせる
🎨 色の心理学
適切な配色で説得力UP
🔄 ダイナミックグラフ
インタラクティブな分析を実現
🎯 実務での活用ポイント

1. 目的に合った可視化を選ぶ
推移→折れ線、比較→棒グラフ、構成→円グラフ

2. シンプルに保つ
色数を制限、情報を詰め込みすぎない

3. アクションにつなげる
「見て終わり」ではなく、次の行動を明確に

4. 更新を自動化
手動更新は忘れがち → 自動化で最新データを
🎯 次のステップへ

データ可視化の応用テクニックを習得しました!次のStep 56では、エラー処理とデバッグの応用に挑戦します。数式のエラーを見つけて修正する技術を学びます!
📝

学習メモ

Excel・Googleスプレッドシート完全マスター - Step 55

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