📐 ステップ8:微分と積分の入門
変化の速さと面積を求める魔法の道具を学ぼう!
📚 このステップで学ぶこと
- 微分:物事の「変化の速さ」を求める方法
- 積分:図形の「面積」を求める方法
- 関係性:微分と積分は「逆の関係」にある
🎯 到達目標: 基本的な微分・積分の計算ができるようになる
1. 微分とは何か?
🎯 微分を一言で言うと
微分とは、「物事がどれくらいの速さで変化しているか」を調べる道具です。
🚗 車の速度
時間の変化に対して、距離がどれくらい変化するか
📈 株価の上昇スピード
時間の変化に対して、価格がどれくらい変化するか
🌡️ 温度の変化
時間の変化に対して、温度がどれくらい変化するか
📊 グラフで考える微分
イメージ図:グラフと接線
📈 グラフが急に上がっている → 傾きが大きい → 変化が速い
📊 グラフがゆるやかに上がっている → 傾きが小さい → 変化が遅い
📉 グラフが下がっている → 傾きがマイナス → 減少している
微分 = 接線の傾き
グラフのある点での「接線の傾き」が、その点での変化の速さです!
📚 微分の基本公式
$y’ = n \cdot x^{n-1}$
(指数を前に持ってきて、指数を1減らす)
微分の手順
ステップ1:指数(右上の小さい数字)を前に持ってくる
ステップ2:指数を1減らす
| 元の関数 $y$ | 微分後 $y’$ | 説明 |
| $y = c$(定数) | $y’ = 0$ | 定数は変化しないので0 |
| $y = x$ | $y’ = 1$ | $x^1 \to 1 \cdot x^0 = 1$ |
| $y = x^2$ | $y’ = 2x$ | $2 \cdot x^{2-1} = 2x$ |
| $y = x^3$ | $y’ = 3x^2$ | $3 \cdot x^{3-1} = 3x^2$ |
| $y = x^n$ | $y’ = nx^{n-1}$ | 一般形 |
📏 微分のルール
$y = c \cdot f(x)$ のとき $y’ = c \cdot f'(x)$
(定数はそのまま残す)
$y = f(x) + g(x)$ のとき $y’ = f'(x) + g'(x)$
(それぞれの項を別々に微分)
各項を別々に微分:
• $3x^2 \to 3 \times 2x = 6x$
• $5x \to 5$
• $-2$(定数)$\to 0$
答え:$y’ = 6x + 5$
2. 積分とは何か?
🎯 積分を一言で言うと
積分とは、「曲線で囲まれた図形の面積」を求める道具です。
📊 グラフとx軸の間の面積
🚗 速度のグラフから移動距離を求める
速度 × 時間 = 距離(速度のグラフの面積が距離!)
💧 水が流れる量を時間で積み重ねる
🔄 積分は微分の逆!
微分:$x^3 \to 3x^2$(指数を前に、指数を1減らす)
積分:$3x^2 \to x^3$(指数を1増やす、新しい指数で割る)
→ 微分と積分は「行って帰ってくる」関係!
イメージ図:積分と面積
📈 グラフの下の面積 = $\int$(グラフの式) $dx$
細かい長方形をたくさん並べて、その面積を全部足すイメージです!
📚 積分の基本公式
(指数を1増やして、新しい指数で割る)
積分の手順
ステップ1:指数を1増やす
ステップ2:新しい指数で割る
ステップ3:最後に $+ C$ を忘れずに!
| 元の関数 | 積分後 | 説明 |
| $\int c \, dx$ | $cx + C$ | 定数は $x$ をかける |
| $\int x \, dx$ | $\dfrac{x^2}{2} + C$ | $x^1 \to \dfrac{x^2}{2}$ |
| $\int x^2 \, dx$ | $\dfrac{x^3}{3} + C$ | $x^2 \to \dfrac{x^3}{3}$ |
| $\int x^3 \, dx$ | $\dfrac{x^4}{4} + C$ | $x^3 \to \dfrac{x^4}{4}$ |
微分すると定数(数字だけ)は消えてしまいます:
• $x^2 + 5$ を微分 → $2x$
• $x^2 + 100$ を微分 → $2x$
• $x^2 – 3$ を微分 → $2x$
だから積分するときは「もしかしたら定数があったかも」という意味で $+ C$ を付けます。
📐 定積分(面積を求める)
(上端の値 − 下端の値)
定積分の手順
ステップ1:まず不定積分を求める($C$ は不要)
ステップ2:上端 $b$ を代入した値を計算
ステップ3:下端 $a$ を代入した値を計算
ステップ4:上端の値 − 下端の値
ステップ1:不定積分 → $x^2$
ステップ2:上端 $x = 3$ → $3^2 = 9$
ステップ3:下端 $x = 1$ → $1^2 = 1$
ステップ4:$9 – 1 = 8$
答え:8(これが面積!)
3. 微分と積分の関係
🔗 微分積分学の基本定理
積分 → 微分 すると元に戻る
微分 → 積分 すると元に戻る($+C$ がつく)
元の関数:$y = x^3$
① 微分する:$y’ = 3x^2$
② その結果を積分する:
$\int 3x^2 \, dx = 3 \times \dfrac{x^3}{3} = x^3 + C$
→ 元の関数 $x^3$ に戻った!($+C$ があるけど)
💼 実世界での微分と積分の関係
| 量 | 微分すると | 積分すると |
| 距離 | 速度 | − |
| 速度 | 加速度 | 距離 |
| 加速度 | − | 速度 |
例:車の速度が $v(t) = 2t$ km/h のとき
• 加速度 = $v'(t) = 2$ km/h²(一定の加速)
• 距離 = $\int v(t) \, dt = t^2$ km(速度を積分)
4. 極値(最大値・最小値を見つける)
🎯 極値とは
極値とは、グラフの「山の頂点」や「谷の底」のことです。
• 極大値:山の頂点(周りより高い)
• 極小値:谷の底(周りより低い)
ポイント:極値の点では、接線が水平(傾き = 0)になる!
📐 極値の求め方
極値を求める手順
ステップ1:関数 $y$ を微分して $y’$ を求める
ステップ2:$y’ = 0$ となる $x$ を求める
ステップ3:その $x$ を元の式に代入して $y$ の値を求める
ステップ4:極大か極小かを判定する
ステップ1:微分
$y’ = 3x^2 – 6x$
ステップ2:$y’ = 0$ を解く
$3x^2 – 6x = 0$
$3x(x – 2) = 0$
$x = 0$ または $x = 2$
ステップ3:$y$ の値を求める
• $x = 0$:$y = 0 – 0 + 4 = 4$(極大値)
• $x = 2$:$y = 8 – 12 + 4 = 0$(極小値)
5. 練習問題(20問)
実際に問題を解いて理解を深めましょう。
基本的な微分①
$y = x^3$ を微分しなさい
【ステップ1】指数を前に持ってくる
$x^3$ の指数は 3 なので、3 を前に持ってくる → $3 \times x$
【ステップ2】指数を1減らす
$3 – 1 = 2$ なので → $3x^2$
【ポイント】公式 $x^n \to nx^{n-1}$ を使う
基本的な微分②
$y = x^5$ を微分しなさい
【ステップ1】指数5を前に持ってくる
$5 \times x$
【ステップ2】指数を1減らす
$5 – 1 = 4$ → $5x^4$
定数倍の微分
$y = 5x^2$ を微分しなさい
【ルール】定数(5)はそのまま残す
【ステップ1】$x^2$ を微分
$x^2 \to 2x$
【ステップ2】定数をかける
$5 \times 2x = 10x$
複数の項の微分
$y = x^3 + 2x^2 – 5x + 3$ を微分しなさい
【ルール】各項を別々に微分
• $x^3 \to 3x^2$
• $2x^2 \to 4x$
• $-5x \to -5$
• $3$(定数)$\to 0$
【合計】$3x^2 + 4x – 5$
接線の傾き
$y = x^2$ のグラフで、$x = 3$ のときの接線の傾きを求めなさい
【ステップ1】微分する
$y’ = 2x$
【ステップ2】$x = 3$ を代入
$y’ = 2 \times 3 = 6$
【意味】$x = 3$ の点では「右に1進むと上に6進む」傾き
基本的な積分①
$\int x^2 \, dx$ を計算しなさい
【ステップ1】指数を1増やす
$2 + 1 = 3$ → $x^3$
【ステップ2】新しい指数で割る
$\dfrac{x^3}{3}$
【ステップ3】積分定数を付ける
$\dfrac{x^3}{3} + C$
基本的な積分②
$\int x^4 \, dx$ を計算しなさい
【ステップ1】指数を1増やす
$4 + 1 = 5$ → $x^5$
【ステップ2】新しい指数で割る
$\dfrac{x^5}{5} + C$
定数倍の積分
$\int 3x^2 \, dx$ を計算しなさい
【ルール】定数(3)はそのまま残す
【ステップ1】$x^2$ を積分
$\int x^2 \, dx = \dfrac{x^3}{3}$
【ステップ2】定数をかける
$3 \times \dfrac{x^3}{3} = x^3 + C$
複数の項の積分
$\int (2x^3 + 3x^2 – 4x + 5) \, dx$ を計算しなさい
【各項を別々に積分】
• $\int 2x^3 \, dx = 2 \times \dfrac{x^4}{4} = \dfrac{x^4}{2}$
• $\int 3x^2 \, dx = 3 \times \dfrac{x^3}{3} = x^3$
• $\int -4x \, dx = -4 \times \dfrac{x^2}{2} = -2x^2$
• $\int 5 \, dx = 5x$
【合計】$\dfrac{x^4}{2} + x^3 – 2x^2 + 5x + C$
定積分(面積)
$\int_1^3 2x \, dx$ を計算しなさい
【ステップ1】不定積分を求める
$\int 2x \, dx = x^2$($C$ は不要)
【ステップ2】上端(3)を代入
$3^2 = 9$
【ステップ3】下端(1)を代入
$1^2 = 1$
【ステップ4】上端の値 − 下端の値
$9 – 1 = 8$
定積分②
$\int_0^2 (3x^2 + 2) \, dx$ を計算しなさい
【ステップ1】不定積分
$\int (3x^2 + 2) \, dx = x^3 + 2x$
【ステップ2】上端(2)を代入
$2^3 + 2 \times 2 = 8 + 4 = 12$
【ステップ3】下端(0)を代入
$0^3 + 2 \times 0 = 0$
【ステップ4】上端 − 下端
$12 – 0 = 12$
微分と積分の往復
$y = x^4$ を微分し、その結果を積分しなさい
【ステップ1】$y = x^4$ を微分
$y’ = 4x^3$
【ステップ2】$4x^3$ を積分
$\int 4x^3 \, dx = 4 \times \dfrac{x^4}{4} = x^4 + C$
【ポイント】元の関数に戻った!($+C$ がつく)
接線の傾き②
$y = x^2 + 3x$ のグラフで、$x = 2$ のときの接線の傾きを求めなさい
【ステップ1】微分
$y’ = 2x + 3$
【ステップ2】$x = 2$ を代入
$y’ = 2 \times 2 + 3 = 4 + 3 = 7$
極値①
$y = x^2 – 4x + 5$ の極値を求めなさい
【ステップ1】微分
$y’ = 2x – 4$
【ステップ2】$y’ = 0$ を解く
$2x – 4 = 0$
$x = 2$
【ステップ3】$y$ の値を求める
$y = 2^2 – 4 \times 2 + 5 = 4 – 8 + 5 = 1$
【判定】$y = x^2 – 4x + 5$ は下に凸の放物線なので、$x = 2$ で極小値
極値②
$y = x^3 – 3x^2 + 4$ の極値を求めなさい
【ステップ1】微分
$y’ = 3x^2 – 6x$
【ステップ2】$y’ = 0$ を解く
$3x^2 – 6x = 0$
$3x(x – 2) = 0$
$x = 0$ または $x = 2$
【ステップ3】$y$ の値を求める
• $x = 0$:$y = 0 – 0 + 4 = 4$
• $x = 2$:$y = 8 – 12 + 4 = 0$
速度と距離①
車が速度 $v(t) = 2t$ km/h で走っている。$t = 0$ から $t = 3$ までで何km走ったか?
【考え方】速度を積分すると距離
【計算】
$\int_0^3 2t \, dt = [t^2]_0^3 = 3^2 – 0^2 = 9$
速度と距離②
車が速度 $v(t) = 3t^2$ m/s で走っている。$t = 0$ から $t = 2$ までで何m走ったか?
【計算】
$\int_0^2 3t^2 \, dt = [t^3]_0^2 = 2^3 – 0^3 = 8$
定積分③
$\int_1^4 (2x – 1) \, dx$ を計算しなさい
【ステップ1】不定積分
$\int (2x – 1) \, dx = x^2 – x$
【ステップ2】上端(4)を代入
$4^2 – 4 = 16 – 4 = 12$
【ステップ3】下端(1)を代入
$1^2 – 1 = 0$
【ステップ4】上端 − 下端
$12 – 0 = 12$
複雑な微分
$y = 4x^3 – 6x^2 + 2x – 7$ を微分しなさい
【各項を微分】
• $4x^3 \to 12x^2$
• $-6x^2 \to -12x$
• $2x \to 2$
• $-7 \to 0$
複雑な積分
$\int (x^3 + 4x – 3) \, dx$ を計算しなさい
【各項を積分】
• $\int x^3 \, dx = \dfrac{x^4}{4}$
• $\int 4x \, dx = 2x^2$
• $\int -3 \, dx = -3x$
【合計】$\dfrac{x^4}{4} + 2x^2 – 3x + C$
📚 このステップのまとめ
1. 微分の公式
$y = x^n$ → $y’ = nx^{n-1}$
(指数を前に持ってきて、指数を1減らす)
2. 積分の公式
$\int x^n \, dx = \dfrac{x^{n+1}}{n+1} + C$
(指数を1増やして、新しい指数で割る)
3. 定積分
$\int_a^b f(x) \, dx = F(b) – F(a)$
(上端の値 − 下端の値)
4. 微分と積分の関係
微分と積分は逆の操作!
💼 データサイエンスでの応用
- 機械学習:勾配降下法(微分で傾きを計算)
- 最適化:コスト関数の最小化(極値を求める)
- 確率論:確率密度関数の積分
- 物理シミュレーション:運動の計算
例題を復習して、基本的な微分・積分ができるようになったらステップ9に進みましょう!
次は「総合練習問題100問」で全体を復習します。
学習メモ
数学基礎 - Step 8