📐 STEP 2a: 高校数学の強化(集合・関数編)
集合の記号、命題と論理、2次関数を学び、数学的思考力を高めよう
📖 このステップで学ぶこと
統計学2級レベルでは、高校数学の知識が必要です。このステップでは、集合の概念と演算、命題と論理、必要条件と十分条件、2次関数とグラフを学びます。これらは統計学の理論的な理解に欠かせない基礎です。
🎯 到達目標: 集合の記号と演算ができる、命題と論理の基礎を理解する、2次関数のグラフが書ける・読める、必要条件・十分条件が判断できる
1️⃣ 集合の概念と演算
集合(set)は、統計学で非常に重要な概念です。確率や事象を扱うときに必ず使います。
集合の基本
物の集まりで、その要素(メンバー)がはっきり決まっているもの
記号:
• 集合: A, B, C など大文字
• 要素: a, b, c など小文字
• a ∈ A(aはAに属する)
• a ∉ A(aはAに属さない)
表し方:
• A = {1, 2, 3, 4, 5}
• B = {x | x は偶数}(条件で表す)
A = {x | x は10以下の正の偶数}
【条件を読み解く】
ステップ1: 条件を分解する
「10以下の正の偶数」には3つの条件があります:
① 10以下(10を含む)
② 正の数(0より大きい)
③ 偶数(2で割り切れる)
ステップ2: 条件を満たす数を探す
まず偶数を小さい順に書き出す:
…, -4, -2, 0, 2, 4, 6, 8, 10, 12, …
ステップ3: 他の条件で絞り込む
• 「正の数」→ 0以下を除外 → 2, 4, 6, 8, 10, 12, …
• 「10以下」→ 10より大きいものを除外 → 2, 4, 6, 8, 10
答え: A = {2, 4, 6, 8, 10}
【ポイント】
• 「以下」は「その数を含む」(10以下 → 10も含む)
• 「未満」は「その数を含まない」(10未満 → 10は含まない)
集合の演算
A ∪ B = {x | x ∈ A または x ∈ B}
AまたはBに属する要素全体
積集合(intersection)
A ∩ B = {x | x ∈ A かつ x ∈ B}
AとBの両方に属する要素
補集合(complement)
Ā = {x | x ∉ A}
Aに属さない要素全体
差集合(difference)
A – B = {x | x ∈ A かつ x ∉ B}
Aに属するがBに属さない要素
(1) A ∪ B
(2) A ∩ B
(3) A – B
(1) A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5, 6}
(2) A ∩ B = {3, 4}
(3) A – B = {1, 2}
【ベン図でイメージする】
A B
┌───┐ ┌───┐
│1,2│ 3,4 │5,6│
└───┘ └───┘
└──┬──┘
共通部分
—
【(1) A ∪ B(和集合)の求め方】
「∪」は「または」= 合わせる
ステップ1: Aの要素をすべて書く
{1, 2, 3, 4}
ステップ2: Bの要素で、まだ書いていないものを追加
Bの要素: 3, 4, 5, 6
• 3 → すでにある(スキップ)
• 4 → すでにある(スキップ)
• 5 → 追加!
• 6 → 追加!
答え: A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5, 6}
—
【(2) A ∩ B(積集合)の求め方】
「∩」は「かつ」= 共通部分
ステップ1: Aの各要素がBにもあるか確認
• 1 ∈ A → 1 ∈ B? → NO(Bにない)
• 2 ∈ A → 2 ∈ B? → NO(Bにない)
• 3 ∈ A → 3 ∈ B? → YES!(両方にある)
• 4 ∈ A → 4 ∈ B? → YES!(両方にある)
答え: A ∩ B = {3, 4}
—
【(3) A – B(差集合)の求め方】
「A – B」は「AにあってBにない」
ステップ1: Aの各要素がBにあるか確認
• 1 ∈ A → 1 ∈ B? → NO → 残す!
• 2 ∈ A → 2 ∈ B? → NO → 残す!
• 3 ∈ A → 3 ∈ B? → YES → 除外
• 4 ∈ A → 4 ∈ B? → YES → 除外
答え: A – B = {1, 2}
【確認】
A – B と B – A は違う結果になることに注意!
B – A = {5, 6}(BにあってAにない)
• ∪(和集合): 「または」→ 合わせる
• ∩(積集合): 「かつ」→ 共通部分
• Ā(補集合): 「以外」→ 含まれない部分
• ベン図で視覚的に理解しよう
2️⃣ 命題と論理
統計学の推論では、論理的な思考が必須です。命題と論理の基礎を学びましょう。
命題
真(正しい)か偽(正しくない)かがはっきり決まる文や式
例:
• 「2 + 3 = 5」→ 真
• 「すべての鳥は飛べる」→ 偽
• 「東京は日本の首都である」→ 真
命題の否定・論理和・論理積
命題pの否定: ¬p
pが真なら¬pは偽、pが偽なら¬pは真
論理和(or)
p ∨ q(pまたはq)
少なくとも一方が真なら真
論理積(and)
p ∧ q(pかつq)
両方が真のときだけ真
p: 「すべての整数は偶数である」
【否定の作り方】
ステップ1: 元の命題を確認
「すべての整数は偶数である」
ステップ2: 「すべて」の否定は「存在する」
「すべての〜は○○」の否定 → 「○○でない〜が存在する」
ステップ3: 否定を作成
「すべての整数は偶数である」
↓ 否定
「偶数でない整数が存在する」
—
【否定のルール一覧】
| 元の命題 | 否定 |
|———-|——|
| すべてのxは○○ | ○○でないxが存在する |
| あるxは○○ | すべてのxは○○でない |
| AかつB | (Aでない)または(Bでない) |
| AまたはB | (Aでない)かつ(Bでない) |
【具体例で確認】
元の命題p: 「すべての整数は偶数である」→ 偽(例: 3は偶数でない)
否定¬p: 「偶数でない整数が存在する」→ 真(例: 3が存在する)
pが偽なら¬pは真 ✓(正しく否定できている)
• 命題: 真か偽がはっきり決まる
• ¬p(否定): 真↔偽が入れ替わる
• p ∨ q(または): 少なくとも一方が真なら真
• p ∧ q(かつ): 両方が真のときだけ真
3️⃣ 必要条件と十分条件
統計的仮説検定で重要な概念です。しっかり理解しましょう。
必要条件と十分条件
• pはqであるための十分条件
(pがあればqは十分に保証される)
• qはpであるための必要条件
(qがないとpは成り立たない)
必要十分条件:
p ⇒ q かつ q ⇒ p のとき
記号: p ⇔ q
(1) x = 2 は x² = 4 であるための何条件か。
(2) x² = 4 は x = 2 であるための何条件か。
(1) 十分条件
(2) 必要条件
【考え方の手順】
ステップ1: 矢印の関係を確認
x = 2 ⇒ x² = 4
(x = 2ならば、x² = 4)
これは成り立つ? → 成り立つ(2² = 4は確実)
ステップ2: 逆も成り立つか確認
x² = 4 ⇒ x = 2
(x² = 4ならば、x = 2)
これは成り立つ? → 成り立たない
なぜなら x = -2 でも x² = 4 になるから
—
【(1) x = 2 は何条件?】
「p ⇒ q」が成り立つとき、pはqの十分条件
x = 2 ⇒ x² = 4 が成り立つので
「x = 2」は「x² = 4」であるための十分条件
イメージ:
「x = 2であれば、x² = 4は十分保証される」
(x = 2があれば、それで十分)
—
【(2) x² = 4 は何条件?】
「p ⇒ q」が成り立つとき、qはpの必要条件
x = 2 ⇒ x² = 4 が成り立つので
「x² = 4」は「x = 2」であるための必要条件
イメージ:
「x = 2であるためには、x² = 4は必要」
(x² = 4でないと、x = 2にはなれない)
ただし、x² = 4 だからといって x = 2 とは限らない
(x = -2 の可能性もある)
→ 十分ではない
—
【覚え方】
p ⇒ q ↑ ↑ 十分 必要 (前)(後)
「前は十分、後は必要」と覚える!
「p ⇒ q」のとき:
• p(前)は q(後)の十分条件
• q(後)は p(前)の必要条件
「pがあれば十分」と覚えよう!
• p ⇒ q: pがあればqは十分
• 十分条件: これがあれば確実に成り立つ
• 必要条件: これがないと成り立たない
• 必要十分条件: p ⇔ q(両方向)
4️⃣ 2次関数とグラフ
確率分布(特に正規分布)を理解するには、2次関数の知識が必要です。
2次関数の基本形
y = ax² + bx + c(a ≠ 0)
標準形(頂点の形)
y = a(x – p)² + q
• 頂点の座標: (p, q)
• a > 0: 下に凸(∪型)
• a < 0: 上に凸(∩型)
(1) 頂点の座標
(2) 上に凸か下に凸か
(1) 頂点: (3, 1)
(2) 下に凸(∪型)
【標準形から読み取る方法】
ステップ1: 標準形の公式を確認
y = a(x – p)² + q
↓ ↓ ↓
頂点の座標 = (p, q)
ステップ2: 問題の式と照らし合わせる
y = 2(x – 3)² + 1
↓ ↓ ↓
a=2 p=3 q=1
—
【(1) 頂点の座標】
y = 2(x – 3)² + 1
p = 3、q = 1 なので
頂点 = (3, 1)
【注意】
(x – 3)² の形なので、p = 3(符号に注意!)
(x + 2)² なら (x – (-2))² と考えて p = -2
—
【(2) 凸の向き】
a = 2 の値を確認
• a = 2 > 0(正の数)
→ 下に凸(∪型)
【グラフのイメージ】
y
│ ∪
│ ╱ ╲
│ ╱ ╲
1 +---● (頂点が最小値)
│ (3,1)
└───┼───────→ x
3
【aの符号と凸の向き】
• a > 0(正)→ 下に凸(∪)→ 頂点が最小値
• a < 0(負)→ 上に凸(∩)→ 頂点が最大値
2次方程式
ax² + bx + c = 0(a ≠ 0)
解の公式:
x = (-b ± √(b² – 4ac)) / (2a)
判別式:
D = b² – 4ac
• D > 0: 異なる2つの実数解
• D = 0: 重解(1つの解)
• D < 0: 実数解なし
【解法1: 因数分解(おすすめ)】
ステップ1: 因数分解できるか考える
x² – 5x + 6 = 0
「掛けて6、足して-5」になる2つの数を探す
• -2 × -3 = 6 ✓
• -2 + (-3) = -5 ✓
ステップ2: 因数分解する
x² – 5x + 6 = (x – 2)(x – 3) = 0
ステップ3: 各因数を0とおく
(x – 2)(x – 3) = 0 より
x – 2 = 0 または x – 3 = 0
x = 2 または x = 3
答え: x = 2, 3
—
【解法2: 解の公式】
x² – 5x + 6 = 0 で、a = 1, b = -5, c = 6
ステップ1: 判別式を計算
D = b² – 4ac
= (-5)² – 4×1×6
= 25 – 24
= 1 > 0(異なる2つの実数解)
ステップ2: 解の公式に代入
x = (-b ± √D) / (2a)
= (-(-5) ± √1) / (2×1)
= (5 ± 1) / 2
ステップ3: 2つの解を求める
x = (5 + 1) / 2 = 6/2 = 3
x = (5 – 1) / 2 = 4/2 = 2
答え: x = 2, 3
• y = a(x – p)² + q: 頂点が(p, q)
• a > 0: 下に凸、a < 0: 上に凸
• 解の公式: x = (-b ± √D) / 2a
• グラフのイメージが大切
📝 練習問題(20問)
このステップの理解度を確認しましょう。16問以上正解できれば次のステップへ進めます。
和集合
A = {1, 2, 3}, B = {3, 4, 5} のとき、A ∪ B を求めなさい。
【解き方】
∪は「または」なので、AまたはBに属する要素をすべて集めます。
重複する3は1回だけ書きます。
積集合
A = {2, 4, 6, 8}, B = {4, 5, 6, 7} のとき、A ∩ B を求めなさい。
【解き方】
∩は「かつ」なので、AとBの両方に属する要素を探します。
• 4: A ✓、B ✓ → 含める
• 6: A ✓、B ✓ → 含める
差集合
A = {1, 2, 3, 4, 5}, B = {3, 4, 5, 6} のとき、A – B を求めなさい。
【解き方】
A – B は「Aに属するがBに属さない」要素です。
• 1: Aにある、Bにない → 含める
• 2: Aにある、Bにない → 含める
• 3, 4, 5: Bにもある → 除外
部分集合
A = {1, 2}, B = {1, 2, 3, 4} のとき、A ⊂ B は正しいか。
【解き方】
A ⊂ B は「Aのすべての要素がBに含まれる」という意味です。
• 1 ∈ B? → YES ✓
• 2 ∈ B? → YES ✓
すべて含まれるので、AはBの部分集合です。
要素の個数
A = {1, 2, 3}, B = {2, 3, 4, 5} のとき、A ∪ B の要素の個数は?
【解き方】
A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5}
重複を除いて数えると5個です。
命題の判定
「東京はアメリカの首都である」は命題か。また、真か偽か。
【解き方】
真偽がはっきり決まるので命題です。
東京は日本の首都であり、アメリカの首都ではないので偽です。
命題の否定
命題p「すべての犬は哺乳類である」の否定¬pを述べなさい。
【解き方】
「すべて」の否定は「存在する」です。
「すべての犬は哺乳類」→「哺乳類でない犬が存在する」
論理和
p: 真、q: 偽 のとき、p ∨ q の真偽を答えなさい。
【解き方】
∨(または)は、少なくとも一方が真なら真です。
pが真なので、p ∨ q は真です。
論理積
p: 真、q: 偽 のとき、p ∧ q の真偽を答えなさい。
【解き方】
∧(かつ)は、両方が真のときだけ真です。
qが偽なので、p ∧ q は偽です。
真理値表
p: 偽、q: 偽 のとき、p ∨ q の真偽を答えなさい。
【解き方】
∨(または)は、少なくとも一方が真なら真です。
両方とも偽なので、p ∨ q は偽です。
十分条件
「x = 3 ⇒ x² = 9」において、x = 3 は x² = 9 であるための何条件か。
【解き方】
p ⇒ q が成り立つとき、pはqの十分条件です。
x = 3 なら必ず x² = 9 になるので、十分条件です。
必要条件
「x = 3 ⇒ x² = 9」において、x² = 9 は x = 3 であるための何条件か。
【解き方】
p ⇒ q が成り立つとき、qはpの必要条件です。
x² = 9 でも x = -3 の可能性があるため、必要だが十分ではありません。
条件の判定
p: x > 10, q: x > 5 のとき、pはqであるための何条件か。
【解き方】
x > 10 ⇒ x > 5 は成り立つ(10より大きければ5より大きい)
x > 5 ⇒ x > 10 は成り立たない(例: x = 7)
よってpはqの十分条件です。
必要十分条件
x = 2 と x² – 4x + 4 = 0 は必要十分条件か。
【解き方】
x² – 4x + 4 = (x – 2)² = 0
この方程式の解は x = 2 のみ
両方向が成り立つので必要十分条件です。
逆の関係
p ⇒ q が成り立つとき、q ⇒ p は必ず成り立つか。
【解き方】
例: x = 2 ⇒ x² = 4 は成り立つ
しかし x² = 4 ⇒ x = 2 は成り立たない(x = -2もある)
2次関数の頂点
y = (x – 4)² + 3 のグラフの頂点の座標を求めなさい。
【解き方】
y = a(x – p)² + q の形なので
頂点は (p, q) = (4, 3)
グラフの凹凸
y = -2x² + 5 のグラフは上に凸か下に凸か。
【解き方】
a = -2 < 0(負の数)なので
グラフは上に凸(∩型)です。
2次方程式
x² – 7x + 12 = 0 を解きなさい。
【解き方】
掛けて12、足して-7になる2数は -3 と -4
(x – 3)(x – 4) = 0
x = 3 または x = 4
判別式
x² + 4x + 5 = 0 の判別式Dを求め、実数解の個数を答えなさい。
【解き方】
a = 1, b = 4, c = 5
D = b² – 4ac = 16 – 20 = -4
D < 0 なので実数解はありません。
2次関数の最小値
y = (x – 2)² + 3 の最小値とそのときのxの値を求めなさい。
【解き方】
a = 1 > 0 なので下に凸(∪型)
頂点 (2, 3) で最小値をとります。
よって x = 2 のとき、最小値 3
📚 このステップのまとめ
🎯 学習したこと
- 集合の概念と演算: 和集合、積集合、補集合、ベン図
- 命題と論理: 命題の真偽、否定、論理和、論理積
- 必要条件と十分条件: p ⇒ q の関係、条件の判定
- 2次関数: 標準形、頂点、グラフの凹凸、平行移動
- 2次方程式・不等式: 解の公式、判別式
練習問題で16問以上(80%以上)正解できたら、STEP 2bに進みましょう!
このステップで学んだ内容は、統計学の理論的な理解に必須です。
特に集合と論理は、確率論の基礎になります。
しっかり理解してから次に進みましょう!
学習メモ
統計検定2級対策 - Step 2